2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の第6話(2月9日放送)ネタバレ&あらすじを読みやすい吹き出し形式で記載します!
蔦重が私の抱えとなったぞ~
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:金々
駿河屋の前の、一風変わった格好の若者たちがのし歩いていきます。
ありゃまたすごい格好ですね女将さん、と駿河屋の女将さんに若い衆が話しかけます。
ねぇ
けどありゃ裾が長すぎないか…と思った瞬間でした。
金々集団の後ろの方にいた男が前の金々の着物の裾を踏んずけました。
裾引き男がつんのめって前の男にぶつかり、またその前のにぶつかって、あれよあれよという間に将棋倒しになっていきます。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:「今」の青本
近頃はこういう金々の客が増えてきました。
何より野暮を嫌う女郎たちです。
普通なら袖にされるのがオチですが、この金々たちが女郎に稼ぎと笑いをもたらしてくれるのもまた事実です。
そこへ、貸本を担いだ蔦重がやってきました。
花の井が気づいて酔っていきます。
蔦重、鱗形屋の抱えの「改」になったんだって?
おう、俺ぁ暖簾分けを狙うことにしたんだよ
あ、それからお前間違ってたからな
地本はただのお仲間で「株仲間」にはなっていないことを伝えます。
…へぇ…
花の井は気のない返事です。
へぇ、って、ちったぁ驚いたりしろよ
…読む本がない。このへんは一通り読んじまったし
花の井は無類の本好きで、暇さえあれば読書をしていたのでした。
んじゃこれなんてどうだ?青本。
お前、青本あんまり借りてねぇだろ
…青本ってつまらないのよねぇ
花の井ははすぐに青本を閉じてしまいました。
どうやら、好みの問題ではなさそうです。
…とそこへ、うつせみがやってきました。
…蔦重、今日、市中へいったりしんすか?
小声で確かめると、天紅の巻紙をそっと渡してきました。
…蔦重、うつせみが自分で鼻を買っても良いとあるのだが
あぁ。女郎は自腹で揚代を払うこともできるんでさ
それは私が払うべき金をうつせみが肩代わりするということか?
まぁ、うつせみはそこまでしても会いてぇってことですよ
女郎が本気で惚れた男のことを間夫とよびますが、いわゆるひものような男も少なくない状況です。
しかし、新之助はそういった輩とは違います。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:鱗形屋の現状
…で、いったいこれをどう工夫したいってんだ?
鱗形屋は真剣な顔つきで目の前の細見を見ています。
それが……まだ何も浮かばぬのですよ!
蔦重はあっけらかんと両手を上げて言います。
いやぁお手上げ!上がったりやのかんかん坊主!
細見もいいが、まず、もっとこう、派手な人ものを
考えてくんねぇか?
『雛形若菜』や『一目千本』のような。
こちらの手元に金がなくとも作れ、それでいて、
ワッと巷で評判にもなるようなもんがいいんだよ。
得意だろ?
そこへ鱗形屋の嫡男の長兵衛が、そろそろ外出の時間だと声をかけてきます。
「おとっつあん、そろそろ出たほうが」
とにかく俺ぁ派手な当たりが欲しいんだ。頼んだぞ蔦重。
ドカンドカン当たんのだぜ!
本商いに行くらしく、鱗形屋と長兵衛は荷を背負い、慌ただしく裏口へ去っていったのでした。
ドカンドカンって
呟いていると
「地本は当たってこそだから」
と声がしました。
声の主は次男の万次郎です。
年は唐丸と同じくらいですが、帳場机で手本を見つつ漢字の練習をしているのです。
お。坊ちゃん、すごいな。もうこんな字書いてんのか
「おいら、書物問屋になるんだ」
書物問屋?地本じゃなくて?
「だって、書物問屋になれば、今よりずっと儲かるんでしょ?」
と手本にしている本を閉じて表紙を見せて言います。
「こういう「物之本』は地本の十倍、二十倍の値で売れるし、中身もずっと同じでいい。物之本は地本より割よく儲かるって、おとっつあん言ってたよ」
はぁ、坊ちゃん俺より詳しいんじゃねぇか?
万次郎が字を練習した紙でしょうか、何気なくそこらに落ちていた反故紙を拾うと、目の前にサッと籠が差し出されたました。
それ、入れとくれ
年寄り番頭の藤八です。
籠の中にはたくさんの反故紙や摺り損じがあります。
集めて紙屑買いに出すのかと思いきや、自前の紙にすると言います。
そのほうが得だと鱗形屋に言われたようです。
蔦重は手伝いを買って出ました。
はぁ、けど、藤八さんは働きもんですね。
こんなことまでやってくれる番頭さんなんて
庭に出て、蔦重がくしゃくしゃにして柔らかくした紙を藤八が厠紙用に切り揃えていきます。
火事からこつちずいぶん暖出しちまったから、人手がな
……あの、ひょっとして今、店、厳しいんですか?
聞きにくい質問だったが、藤八は気にするふうもなく内情を教えてくれます。
ウチはついてなくてねぇ。メイワク火事で蔵も焼けちまったんだよ
なるほど、庭の蔵は新しく建てられたものです。
中にあった板木、摺り出し、蓄えてた紙、墨、糸もすべてパアになっちまってね。
そのうえ、店はもちろん蔵まで建て替えになっちまって。
火事が終わってもどうしてどうして火の車よ
……もしかして、坊ちゃんが書物問屋書物問屋言ってんのは
そうさ、おとつつあんを助けたいと思ってんのさ
なんと健気な季行息子か……蔦重は思わずほろりとしました。
旦那様はお前さんの才を高く買ってる。
茶屋もてえ変だろうが、ひとつうちのことも頼むよ
先代の頃から鱗形屋を支えてきたという年寄り番頭の律儀に、またまた蔦重の涙腺が緩みます。
……へぇ!
力強く返事をすると、蔦重は力を込めて次々と紙を丸めました。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:鱗形屋の怪しい動き
一方の、出かけて行った鱗形屋と長男の長兵衛は小島藩松平家の江戸屋敷に来ていました。
お買い上げありがとうございます。
それから、承っておりましたこちらを…
と、鱗形屋は知り合いから譲り受けた鈴木春信の枕絵を出します。
明和七(一七七〇)年にこの世を去った春信は、綿絵と呼ばれる多色摺りの木版画を生んだ浮世絵師で、美人画や若い男女の恋を描いて一世を風靡した絵師です。
『雛形若菜』の絵師・磯田湖龍斎は春信の弟子です。
江戸家老の斎藤は、それからな、鱗形屋。と声を潜めて話し始めます。
「例のアレを、さらに倍頼むことはできるか?」
倍でございますか?
「金になるような名産品のない当家のような小身の大名には、アレはまことありがたい実入りとなっておってな」
…..では、また、近いうちにお持ちいたします
鱗形屋と長兵衛は平伏して思います。
またしばらく寝不足の日が続きそうです。
ドカンドカン当たる本を作る。
言うは易いのですが、闇夜に針の穴を通すような難題でもあります。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:蔦重のひらめき
義兄さんも、なにかねぇですかねぇ
その夜、半次郎が出前してくれた蕎麦を食べながら、蔦重は次郎兵衛に聞いてみました。
俺?俺あ本読まねぇからなぁ
そういやそうですね…
くだらない話をする中、蔦重はふと気になって再び義兄に聞いてみました。
あの、義兄さんいつから本読まなくなったんですか?
小さい頃は割に本好きでしたよね
赤本は絵がたくさんありますが、大人の本は字ばかりだから…と次郎兵衛は言うのです。
青本は?青本は赤本みてえに絵がいっぱいじゃねえですか
青本はつまんねぇんだよね
花の井も同じことを言っていました。
じゃあ、青本がつまらなくなかったら、
義兄さんは本を読むってことですか?
蔦重は次郎兵衛と話すうちに、おもしろい青本を作れば当たると思いつくのです。
まあ、そうかもしんないねぇ
蔦重はしばし考え込んだあと、ひらめきました。
その頭の中は今、青本を楽しんでいる人々で溢れ返っています。
そうですよ!
義兄さんみてぇな人たちが読む青本を作りゃいいんですよ!
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:新・青本だ!
翌朝早く、蔦重は鱗形屋に駆けつけました。
おはようございます。蔦重ですー
朝早く鱗形屋にやってくると、店には藤八しかおらず、うつらうつら船を漕いでいます。
さすがにちょっと早かったか…どうしようかと思っていると、かすかに板木を摺っている音が聞こえてきました。
奥で何か作業をしているようです。
勢いよく蔦重が戸を開けると、中には鱗形屋、長兵衛、手代の徳兵衛、妻のりんがいました。
なぜか揃いも揃って幽霊でも見たような顔で固まっています。
や、やけに早えじゃねぇか!どした!
ドカンを思いついたんですが、お手伝いしますよ
いい、いい、んなもな、任せときゃ
鱗形屋はピシャリと部屋の戸を閉め、蔦重の背中を押すようにして店のほうへ誘っていきます。
鱗の旦那様は青本もずいぶん出されてましたよね。火事の前は。
まあな。青本といえば、うちか、丸小か
これみなそうなんですが、みな「つまんねぇ』って言うんです。
つ、つまんねぇ?
怒んねぇで!怒んねえでくだせえ!とにかく、本好きの女郎も本嫌いの野郎も、口揃えて青本つまんねぇって言うんですよ。おそらく世の中みんな青本はつまんねぇって思ってんです
蔦重が「つまんねぇ」を口にするたび、鱗形屋の顔が赤味を帯び口角が下がっていきます。
だったら、だったらですよ!
とびきり面白え青本が出たってなったら、そりゃもう蜂の巣をつついたような騒ぎになりません?
あのつまんねぇはずの青本が面白えって!
鱗形屋の表情が緩みます。
蔦重のキラキラ輝く目は、自分には思いもつかない景色を見ているのです。
うまく言えねぇんですけど、その、青本ってカビくせえなって
カビくさい?
今売られている青本を読み込んだ結果、蔦重は、絵も筋立ても古くさいと感じました。
絵も節立ても古臭いってえか。『今』じゃねぇんですよ。
分かりきってる昔話みてえってか。
もっと江戸っ子が楽しめるようなモンにできねぇですかね。
どうでしょう。青本なら作るのにそう金はかかりませんし
鱗形屋はなぜか感慨深げに考え込んでいます。
…まさか、てめえにそれを言われるたぁなぁ
老舗地本問屋の主人はニヤリとします。
いいじゃねぇか蔦重。
二人でとびきり活きのいい話を考えてみようじゃねえか!
へぇ!
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:キンキンするのも大変
蔦車はさっそくネタ集めに取りかかります。
最近面白かったことは何か、反故紙を束ねた帖面を手に避を回ると、女郎たちの口から出てくるのは、やはり『金々野郎』たちのことでした。
次郎兵衛にも話を聞くと、江戸では禁止になった「目ばかり頭巾」を被った男の話が出ます。
どっかの「半可通』にでも教えられたのかね、被っていくのが『通』だって。
止められて、大門でひん剥かれてさ。
半可通とは、中途半端な知識しかないのに知ったかぶりして通人ぶることを言い、女郎たちから嫌われる輩のことです。
キンキンするのもてえ変だー帖面をつけながら、蔦重はしみじみ呟きます。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:お金のかかる日光社参
江戸城では、戦定奉行所の吟味役、松本秀持が田沼意次、松平武元ら老中たちに幕府の財政の報告を行いました。
大奥や役所への倹約指導、自前の御用炭による出費の切り詰め、一方で株仲間の冥加・運上の増加、南鎌二朱銀の利益もございまして、勧金蔵の金は明和九年の大火前まで持ち直しましたことをお知らせいたしました
意次による大奥や役所への後約指導や、株仲間からの収入の増加により、幕府の蓄えは明和の大火以前の状態にまで持ち直したというのです。
これを受けて武元らは意次に、日光社参を執り行いたいと述べました。
日光社参は徳川家、旗本、諸大名が連なって行ういわば将軍家の墓参りです。
片道を三泊四日かけ、徳川家、旗本、諸大名が連なって参詣するので、莫大な費用を必要とするものです。
意次は、ようやく財政が立ち直ったばかりなので大きな出費は避けるべきだと答えるが、武元は、将軍・徳川家治に進言してほしいと譲りません。
幕府の金蔵は持ち直しましたが、旗本、諸大名共に高利貸しや大名貸しに借金を抱える者も多く。
このうえ行列を出す金策に奔走させるは、お慈悲なきことかと。
意次は懸命に訴えます。
意次は家治に、旗本や諸大名は借金を抱える者が多く、日光社参のために金策をさせるのは過酷だと述べました。
しかし家治は耳を貸しません。
翌年は先代将軍、徳川家事の十七回忌であり、嫡男の徳川家基が社参を望んでいるというのです。
お心がけは感服いたしますが、社参のかかりはおよそ二十万両!
まぁ、己の理ばかり通すのもな、意次
やんわりと駒を取られる。またしても白眉毛が大奥を通じ、家治に根回しをしたのでした。
意次は屋敷に帰り、今日の一件を意知と御用人の三浦庄司に伝えます。
しかし、大奥は田沼びいきではなかったのですか?
意知は首をかしげます。
御台所様が亡くなられてから、どうも風向きがな
家治の正室・備子は天皇家の血筋で、家治と夫婦仲は睦まじかったのですが、男児に恵まれず数年前に病没されてしまいました。
自眉毛に手を貸しておるのは、知保の方様でございますか、と御用人の三浦が言います。
お待ちください。知保の方様というのは家基様のご生母ですよね。その昔、父上が千賀と謀って大奥へお上げになった方で
そうよ。おかげで貧乏旗本の娘が我が世の春。
御台様亡き今、大奥の主というわけよ
そんな経織があるのに、なぜ父・意次の敵に回るのか。意知の疑問に三浦が答えます。
「知保の方様が産んだにもかかわらず、家基様は御台様がご養育された。そのあたりを『借り腹にされた!』と恨んでおいでかもしれませぬな」
しかし、父上。この局面、いかになさるおつもりで
意知に指摘されるまでもなく、意次は既に次の一手は考えてあります。
こうなっては、貧乏旗本や大名たちから『社参取りやめ』の嘆願を集めるしかなかろう
「歩」の駒も使い方次第です。
意次は松本秀持を呼んでおくよう、三浦に命じました。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:金々
この頃江戸では、細い髷に長い着物を引きずって通(つう)を気取る者たちが「金々」(きんきん)と呼ばれていました。
一人、悪い奴を作るのはどうだ?
あ!悪い奴がいると話は面白くなりますもんね!
そいつはこの金々野郎を使って甘い汁を吸おうとするのよ
蔦重と鱗形屋はこの金々の男を登場人物にするなどして、売れる青本を作ろうと知恵を絞ったのでした。
構想を練る鱗形屋はいかにも楽しそうです。
蔦重はしみじみと言った。
…本作るのお好きなんですね。鱗の旦那
俺のひい爺さんは『赤本』を江戸向けに作り変えた男でな
えっ! そうなんですか!
その頃、本はすべて上方で作られ流れてくるものでな。
けど、江戸と上方では気風が違う。
江戸のガキが楽しめるモンを作るって出したのがその始まりだ。
で、爺さんはそこから『青本」を作った。
「赤本」を読んで育った子が、大人になっても楽しめように。
だから、俺あこりや運命なんだって思ったよ。
お前さんが「青本』を生き返らせろって言った時
本作りへの情熱なら、蔦重にも分かち合えます。
少々近寄りがたかった鱗形屋にグッと親近感を感じて、蔦重は温かい気持ちになったのでした。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:鱗形屋の悪事
鱗形屋からの帰り道、蔦重は書物問屋の須原屋の店先で主人の市兵衛と顔を合わせます。
見ると、店先で手代に塩をまかせています。
塩をまくのは、回払いのためですが、気になって須原屋に声を掛けました。
市兵衛によると、大坂の棺屋が「歌增早引館用集」という字引を持って訪ねてきたというのです。
何かあったのでございますか?
大坂の柏原屋って本屋が、これ作ってんのはウチじゃねえかって言ってきやがったんだよ
須原屋はカンカンに怒っていて、蔦重に『新増早引節用集』という本を見せてきました。
実はこれは偽版(にせはん)でな
…に、偽版?
板とは、今で言う海賊版のことです。
これを出してる『丸屋源六』って板元は俺じゃないかってよ。
ったく、字引なんざ誰が作っても大して違わねえのに。
ケツの穴のちっせえ
…あの、もしその『丸屋源六』って本屋を見つけたら、大坂の本屋はどうすんでしょう
まぁ、町方へでも訴えんじゃねえか?あの島息だと
町方へ訴え……蔦重はゴクリと唾を呑み込みました。
偽板だという『新増早引節用集』は、万次郎が漢字の手本にしていた本と同じものなのです。
鱗形屋は隠れて何か摺っていたし、儲かっていないはずなのに、藤八が厠紙用に集めた反故紙の中には、摺り損じがたくさんありました。
鱗形屋こそが『丸屋源六』なのではないのか。
そんな疑念が頭から離れず、蔦重は吉原に戻るとまっすぐ九郎助稲荷に向かいました。
…鱗形屋は金繰りも厳しい。
訴えられりや潰れるかもしんねぇ。そしたらよ
鱗形屋が抜けた穴に、自分が滑り込めるかもしれない…。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:蔦重の葛藤
一人でぶつぶっとお稲荷さんに相談します。
けど、だからって、告げ口ってなぁ、あまりにもクズ山クズ兵衛だよな…
そこで蔦重はハタと気づきました。
全部自分の思い違いかもしれない、と。
よし、俺、まず確かめるわ!あんがとよ、お稲荷さん
元気に帰っていく蔦重を、お稲荷さんが微笑んで見送っていました。
鱗形屋の庭の厠を出た蔦重はため息をつきます。
…やっちまってたか
店番の藤八に腹が痛いフリをして厠を借り、摺り損じの反故紙を確認したところーそれはどう見ても、地本問屋が摺るはずのない「節用集』でした。
その時、母屋のほうから男の笑い声が聞こえてきました。
来客らしい。
『雛形若菜』はじられないほどの評判だよ
聞き覚えのある声です。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:鱗形屋の裏切り
庭からこっそりうかがうと、果たして奥の間に西村屋与八の姿が見えました。
それもこれも鱗形屋さんの手引きのおかげさ。
はい。これ、どうぞ
西村屋が、持参した風呂敷包みを開くと、それは金子でした。
それもかなりの金額です。
鱗形屋がにんまりして、受け取った金子をしまい込みます。
で、どうだい、蔦重は
飼い慣らせてきたぜ。
いまやうちのために駆けずり回ってくれてらぁ
しっかり握り込んどいてくれよ。
吉原に自前の板元なんて生まれたら最後、私たちは甘い汁なんて吸えなくなんだからさ
重は頭が真っ白で、しばし息をするのさえ忘れた。
西村屋が声をかけてきたのも、最後の最後で蔦重がはじかれたのも、最初から全部仕組まれていたことだったのです。
板元なんぞとおだてられ、蔦重は馬鹿みたいに、鱗形屋が書いた筋書きどおりに動いたというわけです。
板元たちの悪辣さときたら、忘八以上ではないか!
くそ~!
しかし告げ口は性に合わないと思い、鱗形屋の行く末は天に任せようと決める蔦重だったのでした。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:無念の意次
ご社参につき寄せられた嘆願にございます
中奥の座の間で、意次は積み上げた書状を前に訴えます。
いずれの大名家、旗本も勝手向き苦しく。
甚だしき例では十年先の年貢まで借金の返済に当てねばならぬ始末。
何とぞ!ご英断を!
詰将棋をしていた家治は、やれやれというようにため息をつきます。
家基は余はそなたの言いなりで、そなたは幕府を骨抜きにする成り上がりの姉賊であると考えておる
……妊賊。成り上がりは否めませぬが
あの才走った若君は成長するにつれ政治に口を出すようになり、意次を目の敵にして批判するのです。
ひそかに唇を噛む意次に、家治は思いがけぬ言葉を発します。
このままでは、いずれあやつが舵を握った時、田沼一派は真っ先に排されるぞ
家治の真意を知って今回は投了と決め、意次は武元ら老中に家治の意向を伝えます。
では、上様はご社参を執り行われたいと
はい。上様には私ごときが及びもつかぬ深きお考えにございました
家治の意次に対する全幅の信頼には、思わず胸が熱くなりました。
「然もあらん。しかし、そこもとは大事ないか?」
唐突な問いかけの意を図りかねていると、白眉毛は意地悪い笑みを浮かべます。
「田沼のご家中は馬には乗れるのか?武具馬具は?兜はどこで誂えるか知っておるか?」
元は足軽の家柄の意次に対する、あからさまな侮蔑です。
ほかの老中たちが笑いを堪えているなか、見かねた松平康福が
「う、右江将監様。さすがにお言葉が過ぎるのでは?」
と控えめに読めるも、武元は「何を何を」とまるで意に介しません。
「わしは主殿が恥をかかぬか心から案じておるのだ。ご家中は百姓の出や商人の出のものが多いと聞く。こたび田沼家は足軽ではなく、老中として列せねばならぬわけであろう?」
老中たちの前でとことん意次を辱めます。
が、意次は
仰せのとおり
あえてにっこりした。
つきましては右近将監様には「高家吉良様」よろしく、ご指南願えればと存じます
吉良家は儀式や典礼を職務とする「高家」の名門でありましたが、勅使響応役の指導役だった吉良上野介を浅野底頭が切りつけるという事件が起きます。
その後、切腹となった浅野の遺臣・赤穂四十七士が邸に討ち入り、吉良は首を取られます。
この有名な「赤穂事件」は、のちに『仮名手本忠臣蔵』などの芝居や講談となり、現代でも繰り返し取り上げられています。
意次から武元への
ろくな末路を迎えぬぞ、油断めさるな
という強烈な嫌味と管告です。
…..これは一本取られたの!
武元はさも愉快そうに大笑いし、老中たちも追従笑いします。
意次同様、武元が虚勢を張っているのは明々白々。
意次も笑ったが、その目は怒りと憎悪に満ち満ちていました。
蔵にある武具馬具の類を洗い出せ。
ああ、それから家中で馬に乗れる者も調べ上げよ!
屋敷に戻るなり三浦に命じていると、意知が
少しお話が
と意次のあとを追いかけてきました。
佐野という旗本が参りまして、かようなものを
と巻物を渡します。
真面目そうだが、どこか危険な目をしたその侍は佐野善左衛門政言と名乗りました。
代々番士を務める旗本・佐野政豊の一子で、意次の代理で応対した意知にこの巻物を献上してきたのでした。
なんだこれは
系図にございます。これによると、当家の祖先はかつて佐野家の末端の家臣であったらしく、由緒は好きに改竄してもよいので、良いお役につけてほしいと
意次はまなじりを裂かんばかりの形相になり、系図の巻物を庭の池に投げ込んで叫びました。
由緒などいらぬっ!
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:鱗形屋の連行
その翌日、蔦重は打ち合わせのため鱗形屋にやってきました。
では、例の団扇の方とは無事お話ができましたんで
えらく乗り気でな、すぐにでも始めると言っておった
そりゃ、よろしうございました
店頭で長兵衛や徳兵衛、藤八が忙しく立ち働き、奥では万次郎が学問に勤しんでいます。
……天下太平、世は事もなし
蔦重はポツリと呟きました。
ん?
……何もないのが一番良いってことです。ま、お忘れくだせぇ
一杯食わされて頭に血が昇った蔦重は、須原屋に垂れ込んでやれと一度は店先まで行きました。
鱗形屋が偽板の犯人だまで出かかったが、口には出せませんでした。
やっぱり告げ口は性に合わない。
冷静になってみれば、深く考えもせずうまい話に飛びついた自分も悪いのです。
……おりゃあもう何もしねえ。鱗形屋がどうなるか、運を天に任せるわ
昨夜お稲荷さんにそう宣誓し、天を仰いだのでした。
鱗形屋と打ち合わせを続けていると、店先から
頼もう!
と太い声が響き渡りました。
……長谷川様?
久しぶりに見る平蔵です。
知り合いかと尋ねる鱗形屋に、吉原のお客様だと答えます。
吉原に来れなくなったので、春画でも買いにきたのでしょうか。
応対した徳兵衛が急ぎ足でこちらに来て、鱗形屋に何やら耳打ちします。
「内々に」
「例のアレ」
などという声が、かすかに滑れ聞こえてきました。
どうも怪しい感じです。
徳兵衛が去ると、鱗形屋は再び蔦重に向き直った。
「で、蔦重。細見のほうだが。何か工夫は思いついたのか」「それが、まだ」と言いながら、気になって目で徳兵衛を追う。
いったん奥へ治えた徳兵衛が、紙に包まれた本を持って戻ってきました。
それを渡された平蔵がおもむろに中を改めます。
次の瞬間、片手で本を掴み頭上高く掲げ上げました。
「あったぞ!板だ!」
蔦重はギョッとしました。
『新増早引節用集』です。
店の近くに隠れていた与力と同心たちがわらわらと飛び出してきます。
鱗形屋は顔面蒼白、徳兵衛たちは言わずもがなで、身じろぎもできません。
上方の板元、柏原屋与左衛門より訴えがあった。
柏原屋が作りし『増補早引節用集』を「新増早引節用集」と改題した偽板を作った不届き者を捕らえてほしいと。
どうもここにはそれがあるようだが
平蔵から受け取った本を、与力が鱗形屋の前に突き出します。
ぞ、存じませぬ!なにゆえうちに然様なものが!
鱗形屋のうろたえようといったら、罪を認めたも同然でした。
「改めよ!」
与力が命じ、同心たちが一斉に店の中へなだれ込んでいきます。
お、お待ちを!
止めようとした鱗形屋がまず取り押さえられました。
徳兵衛、藤八、長兵衛次々とお縄になっていきます。
呆然とその様子を見ていた蔦重に、与力が目を留めました。
「お前も仲間か!連れていけ!」
巻き添えを食いそうになった蔦重を、平蔵が救ってくれます。
おい!そいつはまこと吉原の茶屋のもんだ。関わりねぇ!
それを聞いた鱗形屋が、ハッとしたように蔦重を見ました。
信じられない・・・・・という顔です。
「蔵に大量の板木と摺本がございました!おびただしい数にございます!」
凍てついたような場に同心の声が響き渡ります。
……お前か?お前が痛らしたのか!
鱗形屋は蔦重がお上に密告したと勘違いしたらしいのです。
……違います、俺じゃありません!
慌てて否定しましたが、鱗形屋は縄を引かれた痛みで顔を歪めながら、なおも蔦重を睨みつけました。
蔦重、このままで済むと思うなよ。必ず後悔させてやるからな!
捨て台詞を残し、いつの間にか出来ていた野次馬の人だかりの中を引っ張られていきます。
「おとっつあん!おとっつあん!」
追いかけようとした万次郎を、りんが後ろから抱き止めます。
母親の腕の中でもがきながら「おとっつぁーん!」と泣き叫ぶ万次郎の声を、蔦重はやりきれない気持ちで聞いていました。
やがて野次馬もいなくなり、店には戸板が立てられました。
柏原屋って本屋から奉行所に相談があったんだ
その場に残った蔦重に、平蔵がぽつぽつと経緯を話します。
柏原屋は本物の板元で、板作りの犯人を訴えたいが江戸の板元の口が堅く、「丸屋源六」の正体が掴めなかったといいます。
普段ならテメェらで調べろって差し戻すとこだが、この件については、なにゆえか上から鱗形屋を調べろって命が下ってな。
その探りを手伝ってたってわけさ
長谷川様は今、お奉行所に?
いや、御書院番士だ。
これが性に合わんでなー。
奉行所にでも移れねえかって、顔売ってんだ
蔦重は再び戸板の閉まった店を見つめした。
ざまあみろとは、露ほども思えません。
べらぼう6話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:後味の悪さ
その後蔦重は平蔵に語ります。
俺、知ってたんですよ。
鱗の旦那が板してるのも、柏原屋ってのが騒ぎ始めてんのも。
一言『危ねぇぞ』って言ってやりゃあこうはならなかったんですかね
なぜ、言ってやらなかったんだ
近所の店で買ってきたらしく、平蔵は袋から餅を取り出し、ぱくりと頬張ります。
そりゃあ心のどっかでは望んでたからですよ。
こいつがいなくなりや取って代われるって。
濡れ手に粟、棚からぼた餅、俺あうまくやったんでさ。
けど、うまくやるってなぁ……こたえるもんですねぇ
心のどこかで、鱗形屋がいなくなり自分が取って代わることを期待していたからなのです。
武家なんて席取り争いばっかりやってるぜ。
出し抜いたり追い落としたり。
気にするようなことじゃねぇよ。世の中、そんなもんだ
平蔵は「これやる」と栗餅の入った袋を蔦重に渡して言います。
濡れ手に粟餅。濡れ手に粟と棚からぼた餅を一緒にしてみたぜ。
とびきりうまい話に恵まれたってことさ。
せいぜいありがたくいただいとけ。
それが、栗餅落とした奴への手向けってもんだぜ
そう言うと、うまいこと言ったふうな得意顔で去っていきました。
望みどおりになったが、蔦重は苦い思いをかみしめていました。
しかし、この機を逃せば、一生吉原の貸本屋のままで終わってしまうかもしれない。
鱗の旦那。ありがたく、いただきやす!
蔦重は平蔵からもらった栗餅にパクっと食らいつきました。
べらぼう次回放送
次回のべらぼうネタバレ第7話はこちら
【べらぼう7話】ネタバレとあらすじを吹き出しで解説!2月16日放送(2025年大河)
べらぼうのネタバレとあらすじ:一覧
2025年2月
【べらぼう 2月】あらすじ一覧
第5話 2/2(日) 蔦に唐丸因果の蔓
第6話 2/9(日) 鱗剥がれた「節用集」
第7話 2/16(日)好機到来「籠の花」
第8話 2/23(日) 逆襲の「金々先生」
2025年3月
【べらぼう 3月】あらすじ一覧
第9話 3/2(日) 玉菊燈籠恋の地獄
第10話 3/9(日) 「青楼美人」の見る夢は
第11話 3/16(日) 富本、仁義の馬面
第12話 3/23(日) 俄なる「明月余情」
第13話 3/30(日)わっちの光(仮)
べらぼう6話:筆者の見解
放送後に記載いたします~!
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