\ポイント最大11倍/お得をGetする!

【べらぼう36話】ネタバレとあらすじを吹き出しで解説!9月21日放送(2025年大河)

【べらぼう36話】ネタバレとあらすじを吹き出しで解説!9月21日放送(2025年大河)
スポンサーリンク

2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の第36話(9月21日放送)ネタバレ&あらすじ読みやすい吹き出し形式で記載します!

蔦重

どう展開していくかな

べらぼう全話を吹き出し形式で読みやすくご紹介しています!

スポンサーリンク
目次

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:定信は黄表紙好き?

新作の黄表紙も大評判。しかもまだ、昨年の『万石通』も売れ続けてるたあ。天下の蔦屋、乗りに乗ってるな!

賞賛の言葉に羨望と嫉妬を混じえつつ、村田屋が蔦重の背中をバンと叩く。

寛政元年の二月。会所に集まった地本問屋たちの話題の中心は、もっぱら蔦重である。

蔦重

いやいやもう。ひとえに先生方が面白いものをあげてくださったおかげで

蔦重は謙遜したが、恋川春町の『鸚鵡返文武二道』、唐来三和の『天下一面鏡梅鉢』など、定信の寛政の改革と江戸の世相を風刺した戯作は飛ぶように売れていた。

しかし思いきったもんだ。田沼落としはやめ、今度は越中守様を皮肉るたあ

蔦重

皮肉ってねぇですよ。やめてくださいよ。人聞きの悪い

嘘つけ、どう読んだって皮肉ってるだろ

蔦重

こんな有り様で御公儀もてえ変ですね、気張ってくだせえって後押ししてるだけですよ

蔦重と村田屋の長引く押し問答に、岩戸屋が割って入ってきた。

けど、今の気分には合ってらねぇ。ここんとこ越中守様の評判も落ちてきてるし

続いて松村屋と奥村屋も、

田沼様だからって死人に石投げてもいいってなぁ、ありやさすがにいただけなかったね

文武文武もずいぶん落ち着いてきましたしねぇ

と定信人気の翳りを指摘する。

得たりやおうと蔦重、訳知り顔にうなずいた。

蔦重

ありや地道に修行しろ稽古しろって話ですから。キツいことは続かねぇってことなんですかねぇ

すっとぼけやがって。見越してやってんだろ

村田屋に看破されて蔦重が苦笑していると、『鶏鵡返文武二道』を読んでいた鶴屋が言った。

鶴屋(蔦重のライバル)

蔦屋さん。これ奉行所から何か言われてきてませんか?

ていと同じ心配をしているらしい。

蔦重は少しもったいをつけて声を落とした。

蔦重

どうも越中守様は黄表紙好きって話があるらしいんですよ

あの厳格が株をつけたみたいな老中首座が黄表紙を? 本屋一同、ビックリである。

蔦重

私たち、意外とやりたい放題かもしれませんよ?

蔦重はにんまりとした。

ずいぶんと調子に乗っている蔦重であるが、実は寛政元年の初め、定信は黄表紙を読む暇もないほどの忙しさだったのである。

通常の老中としての業務、ことに治済から渡されるおびただしい案件の対応に忙殺されたほか、財政や朝廷などとのやりとりもある。

加えて家斉の教育(おもに監視)、大奥の監督(とくに倹約)、そして人事し。

これが目下、定信を悩ませていた。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:役目を引き受けぬ理由

まこと恐悦至極にございます。しかしながら、それがしまだまだ若輩ゆえ、とても越中守様のお望みにはかなわぬと存じます!

といった具合で、定信が役目を勧めても辞退され、文武に優れた人材がなかなか集まらない。

松平 定信(賢丸)

ここのところ、これぞと見込んだ者がお役目を引き受けてくれぬことが多くてな

白河松平家の上屋敷に戻った定信は、書類を片づけながら腹心の水野為長に話す。

あ、ゆえに長谷川殿を火付盗賊改となされたり

松平 定信(賢丸)

長谷川、曲淵、人がおらぬゆえ、田沼名残の者を外し切ることができぬというわけだ

殿のお目が高いゆえ、皆様、物怖じしてしまうのかもしれませぬな

水野のおだてに

松平 定信(賢丸)

何が高いものか

と定情は謙遜してみせるが、心の中では当然そうであろうと自負している。

松平 定信(賢丸)

私はただ奉公の心をもって忠実にお役を勤める、至極当たり前のことを望んでおるだけだ。どれ、報告を出せ

水野が盆に山なりになった報告書を提出する。

定信は

松平 定信(賢丸)

ずいぶんと溜めてしまったの

と機嫌よく言いつつ最初の一枚に目を通し、

松平 定信(賢丸)

これは

と絶句した。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:賄賂の復活

翌日、定信は、先ごろ側用人に任じられた本多忠織を屋敷に呼びつけた。

憤怒に歪んだ定信の形相は深刻な事態を物語っており、本多はすでに震え上がっている。

松平 定信(賢丸)

そなたが賄賂を受け取っておるという報告があった。そなたは黒ごまむすびの会よりの私の言友であり腹心。範たるべき本多の者がなんたることか

申し訳ございませぬ!当家の家老が!家老にきつく言っておきますので!

松平 定信(賢丸)

此度は許す、しかし、次はないと思え!

本多はハハーツと平伏し、ややあって思いきったように言った。

・・・・・・しかしながら、当家の家老がなにゆえに賄賂に手を出したのかは一考に値しますかと

松平 定信(賢丸)

単なる田沼病である。考えるまでもない

お役目を果たすための掛かりは家禄から払う仕組みとなっております。お役目にあずかっては持ち出しが増え、実のところ役付きとなったとて、たいした旨みもないのでございます

たいした旨みもない?定信はきょとんとした。

松平 定信(賢丸)

お役目を通し世に尽くせ、上様のおめにあずかれる。これ以上の旨みがどこにあるというのだ

田沼のもとで皆が競ってお役目につきたがったのは、賄賂をもらえる旨みがあるゆえ。今、役日を辞退する者が多いのも、つまるところそれが理由と存じます!

盲点であった。

物怖じなどではなく賄賂のせいだったとは・・・・・定は内心、怒りに震えた。

松平 定信(賢丸)

ほう、ではそなたは賄賂を復活しろと

そうは申しませんが、という本多の返事は「そう」で遮られ、定信が早口でまくし立てる。

松平 定信(賢丸)

そもそも知行家禄とは奉公を為すためのもの。もらうものはもらいたいが奉公を為したくないでは筋が通らぬ、いや、もはや盗人ではないか!

「わ」かってはおりますが、と今度は一音しか口に出せず定信に邪魔される。

松平 定信(賢丸)

持ち出しなどに殴われず御公儀への忠義お役目を果たせるそのことを無上の喜びとする!

それを喜びとできるのは懐に余裕のある者だけかと!

今度こそと本多は急いで言った。

松平 定信(賢丸)

ゆえに倹約をせよと言うておる!!!

定信は己にも厳しいが、自分に絶対的な自肩があるゆえ、人にはそれ以上に厳しい。

松平 定信(賢丸)

私の言うとおりにしておればよいのだ、言うとおりにすればうまく回るように私は取りはからっておるのだ!

もはや口で言っても無駄、こんなこともあろうかと本多は用意してきた黄表紙|恋川春町の『鶏鵡返文武二道』を定に差し出した。

越中守様は優れたお方にございます。しかし、その越中守様をもってしても、思うがままには動きませぬもの、それが世というものにございますかと

本多が帰ったあと、定信は部屋で『鶏鵡返文武二道』を読破した。

そこに描かれていたのは、定信が大真面目に打ち出した文武奨励の策がことごとく空回りしていく様であった。

定信の部屋に入ってきた水野が、主の背から放たれるただならぬ気配に気づき、「まずい」という顔になる。

松平 定信(賢丸)

そなたは知っておったはずであるな。私がかようにコケにされておることを

は、しかし、『万石通』の折、黄表紙は面白くせねばならぬゆえ多少のからかいは捨ておけとのお言葉を

松平 定信(賢丸)

これは多少ではなかろう!然様なことも分からぬのか!これはもはや謀反も同じである!

能天気に喜んでいた昨年の自分を殴りつけてやりたい。

あまつさえ喜三二を神”と崇め、蔦重を"大明神”と奉っていたとは。

定信は怒りにまかせて本をビリビリと破り捨てたのであった。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:絶版

日を置かずして、日本橋通油町に奉行所の与力と同心が小者を従え大挙してやってきた。

通りは騒然となり、鶴屋やほかの店の者たち、蔦重とみの吉も何事かと表に出てくる。

嫌な予感はだいたいにおいて当たるもので、奉行所の一隊は蔦屋の前で止まった。

蔦重

いかな御用にございましょうか

蔦重は動揺を押し隠し、与力に笑顔で尋ねた。

蔦屋重三郎か。此度『鸚鵡返文武二道』『天下一面鏡梅鉢』『文武二道万石通」の三作を絶版とする!

蔦重

え?ぜ、絶版?

与力が「改めよ!」と命じ、同心たちが店の中に雪崩れ込んでいく。

蔦重

ちょいとお!

店主の声は無視され、役人たちは件の三作品を一冊残らず没収して引き揚げていった。

人気の三作が消えた店頭はやけに寒々しい。

さすがにその日は板戸を閉め、休業とした。

荒らされた店内を片づけたあと、蔦重たちが途方に暮れていると、鶴屋が事情を聞きにきた。

ていが

てい

黄表紙好きというのが間違いだったのでしょうか

と眉を曇らせる。

鶴屋(蔦重のライバル)

たとえまことであったとしても、もうお好きではないということでしょうね

先行きが危ぶまれるような鶴屋の返答に、いつもは強気のつよまでが青ざめた。

てい

あの、罰ってこれだけで終わるもんですか?これ以上のお咎めとか

すると、黙って考え込んでいた蔦重が急に口を開いた。

蔦重

鶴屋さん。越中守様に会えませんかね

またもやとんでもないことを言いだし、一同を驚かせる。

蔦重

こりゃ越中守様に直に訴える良い折だとも思うんでき。俺たちだって良い世にするためにやってんだって、この際きちんと申し上げてみようかと

蔦重はいたって真剣、鶴屋はやれやれという顔で話を遮った。

鶴屋(蔦重のライバル)

ご老中と言えば田沼様のようなお方だと思ってるかもしれませんが、常の老中は町方に気軽に会ったりはしないですよ

蔦重

そうは言っても人と人じゃねぇですか。腹を割って話しゃ

懲りない蔦重に、ていが

てい

旦那様が身二つに割られるだけになりますかと

と実に明快な答え。

蔦重

そ、そんなことになるかね

鶴屋(蔦重のライバル)

とにかく今は派手に動かないでください。下手するとほかの地本問屋も探られかねませんし

鶴屋にも釘を刺され、蔦重もこれ以上無理は言えない。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:心配

あのよ、まあさんと春町先生って大事ねぇのかね。お家のほうとかさ

ちょうどこの騒動に居合わせた三和が、ふと思いついたように言った。

身元って御公儀にバレてますかね

蔦重は急に心配になった。

こんな時もていは

てい

お上が本気で調べればすぐに足がつきましょう

と実に誠実に答え、蔦重をますます不安にさせる。

そこへもってきてみの吉が、

旦那様、まあさんと春町先生が!

と慌ててやってきたものだから蔦重はもう生きた心地がしない。

蔦重

なんだ!どうした!

うろたえる蔦重に、「表にいらっしゃって」とみの吉。人騒がせな手代である。

二人の用件はしかし、今回の絶版に関わることであった。

喜三二が筆を折るというのだ。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

殿に怒られちまってさ。うちの殿はなんせまだ御年十五でさ

佐修裁根、出羽秋田藩の第九代藩主である。

蔦重

佐竹の殿様ってなぁ。そんなお若いんですか

朋誠堂 喜三二 (平沢)

お若いからふんどしを敬い、その言葉にも素直に従っておられてな。だから、呼び出しにはそれは嬉しそうに出かけていかれたのよ。で

白河松平の上屋敷を訪れた義和に、定信はこう言った。

松平 定信(賢丸)

そなたの江戸家老は家老には向いておらぬのではないか。戯作を描くのにはずいぶんと長けておるようだが。かように不埒なものを描く家老を野放しとは

何も知らなかった義和は、『文武二道万石通』を突き付けられ顔面蒼白になったという。

喜三二は小さくため息をついて続けた。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

黄表紙は言うまでもなく、遊び回っておったことも嗅ぎつけられてな、お家の恥だ、ご先祖に申し訳が立たぬって、顔真っ赤にして涙浮かべて怒られてなぁ

蔦重

けど、何もやめなくても。名を変えて続けりゃいいじゃねぇですか

朋誠堂 喜三二 (平沢)

国元に戻れって言われてさ。もう江戸にもいられないんだよ

蔦重

お国・・・・・んじゃ、草稿は飛聞でやりとりするってな、どうです?

蔦重は諦めきれない。喜三二とは長い付き合いであり、戯作者としても人としても蔦重にはなくてはならない存在だ。

だが喜三二は困ったように笑い、

朋誠堂 喜三二 (平沢)

まぁ、遊びってな、誰かを泣かせてまでやるこっちゃないしねぇ

と言う。そう、喜三二にとって戯作とは終始一貫、あくまで遊びなのだった。

蔦重

・・・・・・分かりました。春町先生のところは。お殿様は戯作のことご存じですよね

恋川 春町

うむ。当家はそれが災いとなり、我が殿こそが恋川春町ではないかと疑われてな

蔦重

はぁ?

春町の主君、駿河小島藩の松平信義は江戸城に参じ、

恋川春町と申すはそれがしではなく家中の倉橋格なる者にございます。倉橋は此度のこと、心より梅やむがあまり病となり、隠居いたしましてございまする!

と申し開きをしたという。

蔦重

それで事は収まりますので?

蔦重が聞くと、喜三二が

朋誠堂 喜三二 (平沢)

病で隠居ってのは、家中にて罰したってことになんだよ

と教えてくれる。

恋川 春町

俺たちは直参ではない。ゆえに、これ以上のお咎めはなかろうということだ

と春町。

蔦重

そうですか。けど、隠居されちまって、倉橋のお家のほうはでぇじねえんで?

恋川 春町

緑が減ったりはあろうが、殿もお気にかけてくださるし。まあ、これからは戯作のほうで、もう少しな

蔦重はホッとした。

蔦重

もちろん。末長くよろしくお願いの介にございます!

朋誠堂 喜三二 (平沢)

ところで、南畝先生は無事かい?すでに目をつけられておったろ

喜三二が南畝の名前を出したとたん、ていが

てい

旦那様、南先生からお文が!

と飛んできた。

文を読んだ蔦重は、気遣わしげに眉を寄せた。春町が

恋川 春町

なんだ、どうしたのだ

と聞く。

蔦重

どうも、東作さんがご病気らしいです

平秋東作は、二年前に斬首された田沼派の勘定組頭・土山宗次郎が逃亡した際に匿ったことが発覚し、「急度比(厳重注意)」の咎めを受けた。

以来、狂歌界とも蔦重とも疎遠になっていたが、古い付き合いの南畝とは繋がっていたようだ。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:東作さん

後日、蔦重は南畝に伴われて東作の見舞いにやってきた。

須原屋市兵衛も一緒である。

東作(山師)

そうかあ、不野さんってなぁ、しぶといねぇ

蔦重から一連の話を聞いた東作は、春町を『酒上不埒」の狂名で呼んだ。

かろうじて布団から起き上がってはいるものの、病膏育に入り以前の溢れんばかりの生気は望むべくもない。

大田 南畝

おお、皆、しぶとく戯けようとな。戯けをせんとや生まれけんだ

南畝がことさら明るく振る舞うも、東作は力なく笑うだけだ。

須原屋も

須原屋

蔦重が面白え狂歌本を作っててな

と、天明狂歌壇の長老として活躍した東作の気を引き立てようとする。

蔦重

東作さんもまた一緒に戯けましょうよ

蔦重が歌麿の狂歌絵本『画本虫撰』を見せると、東作は

東作(山師)

まぁ、綺麗だ、こりゃ

と目を細めた。

そして

東作(山師)

今度は削らねぇでくれんのかい?

と南畝のほうを見る。

南畝はグッと詰まり、

大田 南畝

もちろん

と苦しい一言。

「狂歌才蔵集』で田沼一派に近い東作の歌を削除してしまったのだ。

蔦重と須原屋が二人のやりとりに笑っていると、東作がふいにその名を出した。

東作(山師)

じゃあ、源内さんにも言っとくよ

まるで源内が生きているような言い方だ。

怪訝な面持ちになった蔦重たちに、東作は言った。

東作(山師)

こないだ来たのよ。狂歌が流行るまえに江戸を去っちまったから、狂歌会出てえって

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:東作と源内先生

東作の家をあとにした三人は、須原屋の私室で秘蔵の南蛮酒を飲みながら話をした。

大田 南畝

夢枕に立つたってことかねぇ、あれは

あの世から源内が迎えにきたのかもれない。

やりきれず強い酒を呷る南畝に、

蔦重

生霊かもしんねぇですよね

と蔦重。

大田 南畝

生霊?

蔦重

死んだとは決まってねぇでしょう。誰も源内先生の亡骸は見てねぇんだから

まことのことが分からないなら、できるだけ楽しいことを考える昔からの流儀で、蔦重は想像してみる。

義理堅い東作は、公儀に睨まれるのを覚悟で相方だった源内の遺体を引き取った。

その後、奇跡的に息を吹き返した源内を蝦夷へ逃がしてやった。

別人として生まれ変わった源内は、広大な北の大地で思うぞんぶん我が心のまま、ワガママな人生を…。

須原屋

まあ、どっちにしろ俺たちにしっかりしろって言いにきてんのかもしんねぇな

そう言いながら、須原屋は部屋に置いてある地球儀を見やった。

須原屋

世界の時計は進むのに、日の本だけは百年前に逆戻り。ますます取り残されちまう。俺や田沼様がやったことはなんだったんだって言いにきてんのかもしんねぇな

在りし日の源内が思い浮かび、蔦重はしばし感慨に耽った。

清明の頃、平秩東作はこの世を去った。

誰にも真似できぬ、波乱と冒険に満ちた生涯であった。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:蝦夷地

東作の死からしばらく経った五月の初め、東蝦夷地で戦が起こった。

蝦夷の民が和人(日本人)による非人道的な扱いに耐えかねて蜂起した、のちの世に言うクナシリ・メナシの戦いである。

松前藩主・松前道廣は即座に平定に乗り出し、戦国時代もかくやの冷階かつ残忍な方法で鎮圧したものの、今後蝦夷地をいかに扱うかについて、幕府内で議論を呼ぶこととなった。

江戸城では定信が老中と若年寄を集め、意見を募った。

鎮めたとはいえ、そもそも蝦夷の民が暴れたのは松前家、およびその請負商人たちの酷い扱いによるもの。また此度の鎮め方も残虐非道であり・・・・・

本多忠等が意見を述べている途中で、先は言わずとも分かるとばかりに

松平 定信(賢丸)

蝦夷の民の恨みはますます深いということだな

と定信。

本多が

然様にございます

と大きくうなずく。

松前に支配を任せれば、いずれまた同じことが起こりますかと

ゆえに蝦夷地を松前より取り上げるべきと

事前に決められた道筋を辿るかのように定信がまとめる。

そこに異を唱えたのは、老中の常陸笠間藩主・牧野貞長だ。

しかし天領となれば掛かりが相当となりましょう。お金蔵には然様な余裕は

松平 定信(賢丸)

金のことよりまず何を為すべきかを考えるべきであろう!

・・・・・不明でございました。お許しを

牧野は政治的手腕に長けた極めて有能な人物だが、それが定信の邪魔になることもある。

そう言えば、この話、蝦夷の後ろにはオロシャがおるとの噂もございますな

側用人を経てすぐ老中に昇進した定信の片腕、松平信明がさりげなく後押しする。

定信はふっと笑みを浮かべた。

松平 定信(賢丸)

取るべき道は決まったな

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:定信の怒り

松平 定信(賢丸)

これはもはや国難にございます。このうえは天領とするのが最上かと

定信は蝦夷地についての決定事項を書いた書状を手に、治済と御三家の面々ー尾張の徳川宗臨、水戸の徳川治保、紀伊の徳川治員に諮問を行った。

しかし、蝦夷は遠い

御三家当主の中で一番若い治保は承服しかねる様子。

松前に命じ、手堅く備えさせるほうが確かではないか。戦は得意なようであるし

松平 定信(賢丸)

それは蝦夷の民相手。異国相手となれば、松前だけでは心もとなきことかと

治保は学問を好み行動力もあるゆえ、定信も慎重に答える。

ちなみに水戸藩主は代々江戸定府(江戸定住)と定められ、参勤交代を免除されていた。

国を守るは御公儀の何よりのつとめ、武家の本分でもある一方、還暦を過ぎた治貞は定信寄りの発言をした。

仰せのとおりにございます

と神妙に頭を垂れる定信を、治済は冷めた目で見ている。

残る一人は宗睦だが、こちらの老翁はすんなりとはいかね。

しかし此度、乱を速やかに鎮め、武家の本分を尽くしたと言えよう。功を立てたにもかかわらず所領を取り上げるとはいかがなものかの

此度、蝦夷の民が戦を仕掛けたのは松前の政が酷かったから。政がなっておらぬというのは十分に上知に値する落ち度かと

一橋 治済(家治のいとこ)

しかし掛かりはいかがするのじゃ

今まで興味なさそうに聞いていた治済が、ここで初めて口を開いた。

松平 定信(賢丸)

蝦夷にて交易や開墾などを行い、掛かりを賄おうと考えておりまする。これは第一義ではございませぬが、蝦夷には金銀も多くあると申しますし、天領とすれば、幕府のお金蔵にも大変よろしいかと

一橋 治済(家治のいとこ)

ほほ。なるほどの。じゃが、わしはよいが、そなたはそれでよいのか?

と、おっしゃられますと

一橋 治済(家治のいとこ)

そなたこそが『田沼病』と笑われはせぬかと案じておる

あまりに心外で、定信は一瞬、何を言われたか分からなかった。

松平 定信(賢丸)

!それがしが田沼病?

一橋 治済(家治のいとこ)

先年もうけた町方による『勘定所御用達』であるか。あれなどは人を入れ替え、看板を変えただけで、中身はまるきり田沼のやり方と同じそうではないか

定信が言い返せないでいると、

御用商人は別に田沼の発明ではないし、清廉な商人を選ぶことに意味があるかと

と治貞がかばう。

一橋 治済(家治のいとこ)

そうであったか。しかし、財政を立て直すために松前から蝦夷を取り上げる。それは紛れもなく田沼の発明であろう

しつこく追及する治済に対し、治貞がいくぶんむっとして反論する。

田沼に限らず、あの時分そういった考えを持つ者は数多おった

一橋 治済(家治のいとこ)

しかし民はそう思うかのう

と治済は含みのある笑みを浮かべた。

一橋 治済(家治のいとこ)

そなた黄表紙を取り締まっておるようだが

と定信を見やり、これが証拠というように懐から本を取り出す。

恋川春町作『悦贔屓蝦夷押領』。

定信はハッとした。

あれは確か、朋誠堂喜三二の『文武二道万石通』と同じく昨年の正月に蔦屋から刊行されたものだ。

治貞が

たかが購本、民の購言にござる!

と怒鳴るも治済は馬耳東風、すでに勝ち誇ったような表情をしていた。

その夜、一橋邸には松前道廣の姿があった。

松前 道廣(兄)

では、上知とはなりませぬご様子で?

一橋 治済(家治のいとこ)

紀州の老いぼれが諫めておったが、まぁ・・・・・・・

治済は道廣の献上品蝦夷経由で手に入れた珍しい品々を目利きしつつニヤリと笑った。

一橋 治済(家治のいとこ)

あやつは気位ばかり高いゆえ、田沼より下と見られるのは我慢がならぬはずじゃ

治済の読みどおり、屋敷に戻った定信は着替えもそこそこに「悦贔屓夷押領』をめくった。

畠山重忠に見立てられた定が、不当に追われた英雄・源義経に見立てられた意次に命じて蝦夷を平定させ将軍に献上するという内容で、再読してみれば手柄の横取りにほかならず、定信はとうとうその痛烈な皮肉に気づくことになった。

定信の腸は煮えくり返った。

水野の言ったとおり、本屋も物書きたちもずっと定信を馬鹿にしていたのだ。

松平 定信(賢丸)

恋川春町、倉橋格なるものを呼び出せ!

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:黄表紙好き

翌日、春町が定信からの呼び出し状を持って蔦屋にやってきた。

蔦重

いっそ、呼び出しに応じ、春町先生の考えを腹を割って話すってなあねぇんですか?

そうなれば許される望みもあるが、現実には蔦重の言うようなことはありえない。

恋川 春町

あちらは将軍補佐、こちらは吹けば飛ぶような一万石の小大名の家来ぞ

蔦重

けど、黄表紙好きだって話も嘘じゃねえかもしれねぇでしょう。許されんなら、俺も共に参りますし

自分も咎めを受けるかもしれないのに、蔦重は損得でなく人のために動く。

安易なのでも、楽観的なのでもない。

根っからそういう男なのだ。

恋川 春町

.....うまくいけばよいが、うまくいかねばその場でお手討ち、小島松平家がお取り潰しともなりかねぬ。それは打てぬ博打だな

蔦重

んじゃ、嘘八百を並べたて這いつくばって許しを乞うんですかい?んなこと春町先生がうまくできるたぁ手前には思えねぇんですが

春町はため息をつき、

恋川 春町

そこよな・・・・・

とぽつり。何かうまい手はないものかー。

思案投げ首だった蔦重が、ややあって顔を上げた。

蔦重

いっそまことに病で死んでしまうってなぁどうです?病で隠居は建前ではなく、本当だったってことにして。そのあとは絵や戯作を生業として別人として生きてく、とか

蔦重自ら言いだしたものの、さすがに

蔦重

ねぇですね

と引っ込めようとした時だ。

恋川 春町

いや!.....いや、それが最善かもしれぬ

春町は日を輝かせた。

恋川 春町

それがしが死んでしまえば、責める先がなくなる。殿もこれ以上しつこく言われることもなくなりましょうし

死んで別人となり、戯作者として生きていく。春町の計画に、当然ながら信義は面食らった。

しかし、然様なことができるのか?

恋川 春町

人別や隠れ家など蔦屋重三郎が万事はからってくれると。支度が調うまで、殿にはしばし「病にて参上できず』と頭を下げていただく労をお願いすることになりますが

・・・・・当家はたかが一万石。なんの目立つところも、際立ったところもない家じゃ。表立っては言えぬが、恋川春町は当家の唯一の自慢。密かな私の誇りであった

恋川 春町

殿......

春町にとって、これ以上の称賛はない。

そなたの筆が生き延びるのであれば、頭などいくらでも下げようぞ

恋川 春町

ご温情、まことありがたく!

主君に泣き顔を見せまいと、春町は深く平伏した。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:また書けます

一方、喜三二が国元へ戻る日が近づき、吉原の引手茶屋・駿河屋で蔦屋主催の送別会が開かれることになった。

その豪華で派手なこと、質素食約などどこ吹く風で芸者や間が呼ばれ、喜三二が通い尽くした女郎屋の親父たちも大集合。

当の喜三二は歴代の馴染みである元女郎たちに囲まれて上機嫌だ。

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

重三、あれ、誰なんだい?

隣で酒を飲みつつ次郎兵衛が聞いてきた。

喜三二と話している、しわくちゃの婆さんのことだ。

蔦重

筆下ろしのお相手らしいですよ

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

はぁー!そお!

妙に感動している次郎兵衛に笑っていると、北尾重政が喜三二に寄っていった。

蔦重が「お」と立ち上がる。

この二大巨匠は、いわば蔦屋という車の両輪だ。

喜三二先生。あの、これに名を入れてもらえますか?

重政が『文武二道万石通』を差し出し、「思い出の品と言いますか」と笑む。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

重政先生とはずいぶん一緒にやったのに

これは喜三二の名での最後の戯作になるじゃないですか。ところで先生、次はどんな号になさるんで

喜三二が

朋誠堂 喜三二 (平沢)

次ねぇ

と苦笑しているところへ、蔦重が

蔦重

次はねぇですよ

と話に入っていく。

蔦重

先生はお家のためにもう二度と書けねぇんです。ね

朋誠堂 喜三二 (平沢)

おお

と生返事する喜三二に、吉原の見番兼町役のりつが

女郎屋りつ

いいねぇ、私もお願いできますか?

と名入れを頼む。

それを見た女郎屋の親父たちが我も我もと喜三ニの本を手に集まった。

2代目かぼちゃ

親父、最後までこの時の話してましたよ

二代目大文字屋市兵衛が、喜三二に名入れをしてもらった『明月余情』を手に懐かしむ。

だろうなぁ。この序はホントに見事でさ

と画を担当した勝川春章。吉原の祭り「俄」の熱気を閉じ込めたかのような絵もまた見事だった。

すかさず丁子屋長十郎が、

丁子屋

次の俄でもう一度これやるってのはどうです?

と喜三二に投げかける。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

どうだろう

と言いかけた喜三二を遮り、

蔦重

先生はお家があんですから、ダメですよ

と蔦重。

しかし親父たちの口は止まらない。

扇屋宇右衛門が喜三二の「娼如地理記』を手に「こんな膝を打つような吉原案内なかったね」とベタ褒めすれば、松葉屋半左衛門が「先生、もう一度こんなの作ってよ」と懇願するように手を合わせる。

喜三二は困惑交りの曖味な笑顔で応じるのみだ。

蔦重

親父様方、先生はもう筆を折るんですって!

蔦重の大声にかぶせるように、艶っぽい女の声が言った。

松の井

もったいない。あのように冴えたお筆を

松葉屋の女郎で喜三ニの敵だった松の井だ。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

おいらん!

心底嬉しそうに駆け寄る喜三二に、

ふじ(蔦重の義理の母)

もう花魁じゃないですよ

と駿河屋の女将、ふじが笑いながら教える。

松葉屋の女将いね

年季明けて手習いの師匠と一緒になって、今は自らも手習いの女師匠さ

同じ花魁上がりの松葉屋の女将いねは、それが嬉しくて誇らしくてたまらない様子。

完松の井は

松の井

お千代にございます

と名乗り、

松の井

私にも御名を一つ

と喜三ニの像駅要を差し出した。

喜三二が腎虚と闘いながら書いた傑作である。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

世話かけたねぇ、あの時は

喜三二がしみじみと言う。

昼も夜もつきっきりで付き添ってくれた松の井は、いわば戦友だ。

松の井

いいええ。今となっては楽しい思い出で

朋誠堂 喜三二 (平沢)

楽しかったよねぇ

などと二人が思い出話に花を咲かせていると、今度は戯作者たちがわらわらと寄ってきた。

一番手は南畝で、

大田 南畝

んじゃ、俺はここに頼めます?

と自著の黄表紙評判記『菊寿草』を開き、

大田 南畝

ここ!ここに大きく!朋誠堂喜三二って

と極上上吉の高評価をつけた『見徳一炊夢』が載っている頁を指さす。

歌麿(唐丸)

俺はあえてのこれで

と歌麿が出したのは、喜三二の本ではなく春町の『廓篤費字盡』だ。

蔦重と歌麿と三人で断筆宣言をして引きこもった春町をなだめにいったことを思い出し、

朋誠堂 喜三二 (平沢)

あん時や大変だったねぇ

と苦笑する喜三二。

蔦重

けど楽しかったですよねぇ

皆からそう言われると、喜三二もだんだん切なくなってくる。

続いて春町に劣等感を抱かせた張本人、山東京伝こと北尾政演が現れた。

北尾 政演

へへ、俺やこれに。これに「北里喜之介」て書いてもらってよいですか?

喜三二には覚えのない、『喜之介北里来足』という絵題箋が貼られた黄表紙である。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

なんだいこれ?

北尾 政演

先生の次の号、北里喜之介ってなどうかって

すかさず三和が、

そりゃひょっとして、喜三二先生が「喜之介』として筆をとるってことかい?

北里喜之介

とは京伝の人気作「江戸生艶気焼』に登場する主人公懸三郎の悪友の名前だ。

喜三二は何も言わないが、笑いをこらえているような表情をしている。

蔦重は密かにニヤリとした。畳みかけるように政演が続ける。

北尾 政演

楽しくないですか?本の中の登場人物になりきって筆をとるって。北に行かれるって言うし、北里喜之介北の遊里に来たり!って。ウキウキしてこんなもん作っちまって

蔦重

政演、よしなって。先生はもうさ

しらじらしく同じ台詞を口にしようとする蔦重を制するように、喜三二の明るい声が響いた。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

やります!まあさん、まだ書けます

蔦重

えっ、いいんですか、お家は!

喜三二が苦笑いしつつ、大根役者の額をポンと叩く。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

仕組んでんじゃないよ!これみんなで示し合わせてんだろ!

バレちまったかと一同、大笑いである。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

ったくもう、面白えことばっかり考えやがって

喜三二も笑うしかない。

蔦重

すいません。どうしても先生に書いてもらいたくて

蔦重と同じ思いを、ここにいる全員が目で訴えてくる。

喜三二は戯作者冥利に尽きる思いで嬉しいため息をついた。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

揃いも揃ってべらぼうな連中め・・・・・もう書くしかないではないか。ま、春町も続けるって言うし。ところで今日、あいつは?

蔦重

あ、ちょいと風邪ひいたみてえで。まあさんには改めてって

そこへ駿河屋市右衛門が

駿河屋市右衛門(蔦重の義理の父)

重三郎。ちょいといいか

と声をかけてきた。忘れねぇうちにと春町がこの先使う人別の写しを渡してくれる。

蔦重

ありがた山にございます

蔦重が安心して頼れるのは、やはりこの親父様なのである。

駿河屋市右衛門(蔦重の義理の父)

歌とは違って見知りも多いお方だ。気配れよ

へえ、分かってまさ

これで何もかもうまくいく。蔦重はそう思っていた。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:春町先生

夜通しの送別会を終え、翌日になって店に戻ってきた蔦重に、ていが思わぬことを告げた。

蔦重

春町先生が?

昨日ていが出先から戻ると、編笠を被った春町が店の前で蔦屋を見つめていたというのである。

てい

ええ、具合が良くなり歩きに出られたとおっしゃってたのですが

これから送別会に行くのかと尋ねると、春町はちょうど通りかかった豆腐売りを見やり、

豆腐でも買って戻るとする

と言って帰っていったという。

何やら胸騒ぎがする。そんな虫の知らせを、

朋誠堂 喜三二 (平沢)

蔦じゅう・・・・・・

という腑抜けた声が現実にした。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

さっき家戻ったらさ、春町んとこから知らせが来てて・・・・・・春町が、腹切ったって

そこには、顔から血の気が引いて今にも倒れそうな喜三二の姿があった。

蔦重と喜三二が中間に訪れると、横たわった白装束の亡骸の顔に白い布がかけられていた。

それでも親友だった春町の死を受け止め切れず、喜三二は呆然自失の体だ。

蔦重は気が張っているせいかいくぶん冷静で、遺体の髷にところどころ白いものがくっついていることに気づいた。

手に取って確かめてみると、指先で潰れるほど柔らかい。これは…。

こちらが辞世になります。読んでやってください

春町の妻が泣き腫らした目で夫の辞世の句を差し出した。

先に喜三二に渡し、蔦重がふと室内に目をやると、紙の破片が床に散らばっている。

文のようだ屑籠にも破いた紙が捨ててある。

蔦重は、そこに春町の本心があるような気がした。

蔦重

ご新造様、これ、触ってもよろしいですか?

許しをもらい、喜三二と妻も蔦重を手伝ってバラバラの紙片を並べ合わせる。

やがて貼り合わされた紙に、春町の性格そのもののル帳面な字で綴られた文が浮かび上がった。

『蔦重、いきなりかような仕儀となり、すまね。実は例の件が抜き差しならぬこととなってしまってな・・・・・・』

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:豆腐の角に…

定信が春町の屋敷に出向く。

信義が見舞いのふりをして知らせにきたのは、送別会の日の朝のことだった。

病も御りであろうと言ってこられた

春町は青ざめた。

恋川 春町

それでは、殿が越中守様を謀ったことに

倉橋。今すぐ逐電せよ。あとのことは、倉橋のことは、私がなんとかする

これが、主従の交わした最後の会話となった。

『殿は逃げよと言ってくださったが、然様なことをすればこの先、何がどうなるか知れぬ。小島松平、倉橋はむろん、蔦屋にもほかの皆にも累が及ぶかもしれぬ。それは、できぬと思った。もう、すべてを丸く収むるにはこの落ちしかないかと』

手紙はそこで終わっていた。

蔦重には容易に想像できた。

春町が筆を止め、

恋川 春町

・・・・・・恩着せがましいか

と文を破り捨てた有り様を・・・・・・。

蔦重たちが蔦屋に戻ってくると、知らせを受けた南敵と政演、三和、重政らが駆けつけていた。

歌麿(唐丸)

なんで、なんで本書いただけでこんな・・・・・・・

歌麿は涙で声を詰まらせた。

喜三ニも蔦重も、その答えが見つからずうつむくばかりだ。

大田 南畝

我もまた身はなきものとおもひしが今はの際はさびしかり鳧

蔦重が書き写してきた春町の辞世の句を、南畝が読み上げる。

『息』は鴨。鵡のけりは鴨でつけるというひねりですかね

と重政が沈鬱な顔で言う。

北尾 政演

ちょいと!何してんです三和さん!これ、辞世ですよ!

政演が悲鳴のような声をあげて三和から紙を取り上げた。

あろうことか、三和が春町の辞世の句を書き換えたらしい。

南敵がそれを読み上げる。

「我もまだ実は出ぬものとおもひしが今はお側が恋しかり鳧」

政演が

北尾 政演

もう、腹壊した歌にしちまって

と三和を睨みつけた。

死者への冒涜であり、武士・倉橋格の沽券にも関わる。

しかし三和は、泣きそうな顔で言い返した。

だってこんなのやってられねぇじゃねぇかよっ!ふざけねぇとよっ!

そのとおりなのだった。

ふざけが過ぎるくらいでないと到底やりきれない。

皆が黙り込むなか、蔦重は自分でも半信半疑のまま、

蔦重

あ、あの

と一同に注目を促した。

春町先生の、ここに

と自分の髷を指し、

蔦重

豆腐がついてたんですよ。あれって、もしかして。

腹を切った春町は、痛みをこらえて必死に桶を探し求めたのではないか。

桶の中には買ってきた豆腐が入っている。

春町は自分の思いつきに少し笑い、桶に頭を突っ込んだし。

蔦重

と、『豆腐の角に頭をぶつけて死んだ』ってことにしたかったってことですかい?

政演はあ然とし、歌麿は

歌麿(唐丸)

なんだってそんな・・・・・・・

と絶句した。

戯作者だから

喜三二が震える声で言う。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

真面目な、クソ真面目な男だったじゃない。ふざけるのにも真面目でさ

皆の頭に浮かんだのは、在りし日の、クソ真面目に放屁芸を披露した春町の姿だ。

朋誠堂 喜三二 (平沢)

恋川春町は最後まで戯けねぇとって考えたんじゃないかなぁ!

喜三二がボロボロと涙をこぼす。

一同の後ろで、ていとつよも目頭を押さえている。

蔦重

べらぼうでさね・・・・・春町先生、こりやおふざけが過ぎまさぁ!

たまらず放った蔦重の言葉に、一同の思いが堰を切って涙と共に溢れ出した。

後日、松平信義は白河松平家の上屋敷に足を運び、定言に家臣・倉橋格の死を報告した。

べらぼう36話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:定信の後悔

松平 定信(賢丸)

亡くなった?

はい。腹を切り、かつ、豆腐の角に頭をぶつけ

松平 定信(賢丸)

豆腐?

御公儀を謀ったこと、倉橋格としては死んで詫びるべきと腹を切り、恋川春町としては死してなお世を笑わせるべきと考えたのではないかと、板元の蔦屋重三郎は申しておりました

定信の顔からみるみる色が消えていく。

一人の至極真面目な男が、武家として、戯作者としての「分」をそれぞれわきまえ全うしたのだと、越中守様にお伝えいただきたい。そして、戯ければ腹を切られねばならぬ世とはいったい誰を幸せにするのか、学もない本屋風情には分かりかねるーと、そう申しておりました

松平 定信(賢丸)

.......ご苦労であった

対面所を出た定信は、その足で布団部屋に入った。

重ねてある布団に顔を突っ込み、しばし微動だにせずいたが、やがて動物の咆哮のような絶叫が響き渡った。

べらぼう次回放送

次回のべらぼうネタバレ第37話はこちら

【べらぼう21話】ネタバレとあらすじを吹き出しで解説!5月25日放送(2025年大河)
るるプレス

第35話 | 第37話→

べらぼう | ネタバレ吹き出しあらすじトップペ

べらぼうのネタバレとあらすじ:一覧

2025年9月

【べらぼう】ネタバレ&あらすじ 吹き出しで最終回まで読みやすく解説
るるプレス

【べらぼう 9月】あらすじ一覧

第34話 9/7(日) ありがた山とかたじけ茄子
第35話 9/14(日)間違凧文武二道
第36話 9/21(日) 鸚鵡のけりは鴨
第37話

べらぼう36話:筆者の見解

見返りさん

放送後に記載いたします~!

大河ドラマ べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ 蔦屋重三郎とその時代 (TJMOOK) [ 鈴木 俊幸 ]

↓↓↓

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次