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【べらぼう20話】ネタバレとあらすじを吹き出しで解説!5月25日放送(2025年大河)

【べらぼう20話】ネタバレとあらすじを吹き出しで解説!5月18日放送(2025年大河) るるプレス
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2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の第20話(5月25日放送)ネタバレ&あらすじ読みやすい吹き出し形式で記載します!

蔦重

いよいよ市中に本屋を出せるか~!

べらぼう全話を吹き出し形式で読みやすくご紹介しています!

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目次

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:まさか

十代将軍徳川家治

次の将軍には当家の豊千代を

江戸城・一橋邸。意次から家治の意向を伝えられた治済は、「まさか」という顔である。

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一橋 治済(家治のいとこ)

ご実子をもうけるべくお励みであると聞いたが

豊千代に白羽の矢が立つなど考えたこともない、というふうを装っているが、御三家・御三卿の中で、一橋家のほかに将軍を継ぐ男子はいない。

田沼 意次

熟慮の末、将軍には一橋の豊千代様、そして御台所には田安の出の種姫様。次代はこの縁組で徳川を支えていただくのが最善と考え至ったとの仰せにございます

一橋 治済(家治のいとこ)

主殿、今日は何やら少し硬くないか

田沼 意次

…本日はお役目として参っておりますので

と意次は笑ってごまかした。

一橋 治済(家治のいとこ)

そうか。まさかの折に後継(跡継ぎ)を出すのは一橋の役目。謹んでお引き受けしたいが…豊千代にはすでに縁組をした薩摩の茂姫がおるのじゃが、そこはいかように

田沼 意次

『御台所』様にさえならなければよろしいわけで。縁組はなしとし、『側室』として奥にお入りいただく形などでいかがでしょう

一橋 治済(家治のいとこ)

なるほどの。では島津にはそう伝えておく

田沼 意次

では、よろしくお願い申し上げまする

一礼して去っていく意次の背を、治済は一転して冷めた眼差しで見送っていた。

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べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:南畝先生の家

女郎屋りつ

通町組『なんだ外に板元もない様に蔦屋を巻頭とは』

りつが『菊寿草』を読み上げる。

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続いて次郎兵衛が、

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

ひいきは返す
『くそをくらへ大門へ入ったことはないか。細見は目に見えぬかぁ!』

威勢のいい文面のとおり、大田南畝は『菊寿草』の中でずいぶんと耕書堂を褒めてくれていた。

春町などは、

恋川 春町

次はいよいよ耕書堂の天下、というようにも読めるな

とまでのたまう。

蔦重

ウチの天下って…。まさかぁ!

そう言いつつまんざらでもない蔦重は、礼を兼ねて挨拶をしようと須原屋に仲介の労を取ってもらい、大荷物を手に大田南畝の住む牛込の細健組屋敷にやってきた。

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組屋敷とは、同じ機務についている御家人に幕府がまとめて与える、現代で言えば社宅のようなものである。

女郎屋りつ

まだ十九やそこらだったかねぇ。
南畝先生が書き溜めてたものを東保さんが源内さんに見せて、それを源内さんが気に入って、おすすめの序を書いて

蔦重

それで『寝惚先生』が世に出たと

漢詩などの書籍で溢れた部屋の一角には、早熟の天才少年を一躍時の人にした狂詩集『寝惚先生文集』が鎮座している。

蔦重

しかし、名の売れた方のお住まいにしちゃ

と蔦重は室内を見回した。

傷んだ塗り壁に破れ障子。それを修理する金もない様子である。

女郎屋りつ

まぁお家柄としては『御徒』だからねぇ

御徒とは徒歩で将軍行列の先頭で警護にあたる役目で、身分的にはお目見以下。

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御家人の最下層である。ご多分に滑れず、大田南畝も借金まみれであった。

蔦重

こりゃ書き物でしっかり実入りが欲しい類のお方って考えてよいのですかね

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

どうだろう、まあ。喜三二先生のようなご身分ではないわなぁ

朋誠堂喜三二こと平沢常富は藩士の最高位である江戸留守居役、今で言えば「重役」である。

蔦重と須原屋がそんな話をしていると、突然「くれよくれ」と声がした。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:南畝先生

大田 南畝

金はおくれよホーホケキョ

声のほうを振り向くと、破れ障子の隙間から梅の枝が差し込まれている。

大田 南畝

くれ竹の世の人並みに松立てて破れ障子に春は来にけり

竹の「節」と「世」を掛け、障子を「張る」と「春」を掛けた一首である。

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ボロ屋ながら障子を張り替え、世間なみに門松も立てて新年を祝おうという歌だ。

萬重は急いで障子に近寄り、梅の枝を受け取った。

蔦重

南畝先生!此度はお引き立てのほどありがとうございました。吉原の耕書堂、蔦屋重三郎と申します!

今度は「ギャー!」と赤ん坊の泣き声。

慌てて障子を開けると、泣き叫ぶ赤子をおぶり、ベロベロバーとあやしている男がいた。

その名を世にとどろかせている時代の電児、大田南畝である。

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須原屋が赤ん坊を引き受けてくれたので、南畝は蔦重が挨拶代わりに持参した細見や吉原本をめくり始めた。

蔦重

御母上様と御新造様もちょうどお出かけで

大田 南畝

うむ。それにつけてもこの折にお訪ねとは。はぁ、めでてぇこって

蔦重

めでてえ?何がめでてぇんです?

大田 南畝

おかげで、このせんべいは俺の独り占めだ!

と吉原名物「竹村伊勢」の名品・巻せんべいをパクリ。

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これも蔦重の手土産である。

大田 南畝

世に吉原があるたぁ、まあ、めでてぇねぇ

蔦重

…あの、畳がずいぶん焼けておりますが

ふと思いついて聞いてみる。

大田 南畝

十年々かさず陽は昇り、十年々かさず場は暮れた。めでてぇこったの太平楽

蔦重

障子が破れておりますが

大田 南畝

穴の向こうにや富士が見える。あなあなあなあな

と穴を指で数えつつ、「穴めでたし」これには蔦重も笑ってしまった。

蔦重

なんでもかんでもめでてえんですか

大田 南畝

そうよ。この世は了見一つでなんでもめでたくなるものよ

南畝の楽観的な考え方、明るいものの見方に蔦重は大いに共感した。

蔦重

先生。ウチでひとつお書きになりませんか?なんでもかんでも『めでてぇ』ってことほぐお江戸案内なんてなどうです?

大田 南畝

あは。いいねぇ!

蔦重

ほかに何かあります?なんでもよいですよ。先生がおやりになりたいものなら!

大田 南畝

…今なら狂歌。いや

蔦重

狂歌ってさっきの『くれ竹の』ってやつですか?

須原屋

近頃はやる人も増えてきたっていうね

と須原屋が赤ん坊をあやしながら言う。

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狂歌は五七五七七の和歌の形式に言葉遊びや風変わりな発想を盛り込んだ、いわば和歌のパロディで、身分や職分を超えてみるみる広がり、毎月のようにあちこちで狂歌会が開かれていた。

その中心にいるのが、唐橋洲・朱楽竜法と共に狂歌三大家と言われたこの大田南畝である。

大田 南畝

あ、そうだ。一度覗きにくるか?狂歌の会

蔦重

ぜひ!

板元の嗅覚が働く。まさに願ってもない南畝からの誘いであった。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:鶴屋の心配

一方、地本問屋たちの酒席でも、『菊寿草』が話題になっていた。

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評判をもらった本屋たちは機嫌よく褒め合ったりしているが、鶴屋だけは浮かぬ顔である。

たかが青本の話じゃねえか。別に屋台骨に関わるような商いじゃなし

どうせこんなのマグレ当たりですよ

村田屋と松村屋に励まされ、鶴屋は

鶴屋(蔦重のライバル)

だといいんですけど

と苦笑を浮かべた。

上上吉をもらっている数で言えば、確かに鶴屋のほうが蔦重より多いかもしれない。

だが、鶴屋が気がかりなのは、そんな一作一作のことではなかった。

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そこへ、早々に酔っ払った西村屋が千鳥足で寄ってきた。

西村屋

気にしすぎだよ!
見てな、このうえはあたしが錦絵で一矢報いてやるからさ

鶴屋(蔦重のライバル)

ありがとうございます。
けど、西村屋さん。錦絵もいいですが、細見を大事にしてください

西村屋

ん?細見?

人は悪くないのだが、西村屋はどうも思慮の浅いところがある。

鶴屋(蔦重のライバル)

市中も細見を「出しているということ」が、今は何より大事だと思うんです

言いながら、鶴屋は少し離れたところで話している本屋たちの集団に視線を移した。

おい、読んだか、これ

と一人が「菊寿草」を出して見せている

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読まいでか。近頃「見徳」はねぇのかって客ばかりよ

ありえねぇよなあ。本屋の棚に今一番評判の本がねぇなんてさ

浅草茅町の板元・岩戸屋の不満げな顔は、鶴屋の不安をますます掻き立てたのであった。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:言い訳さえ立てば…

女郎屋りつ

狂歌の本って、ありゃそもそも読み捨てだよ

芸能に詳しいりつが、蔦重に教えてくれる。

蔦重

読み捨て、その場限りってことですか?

女郎屋りつ

その場のノリだけさ。ご大層に本にするようなもんじゃないと思うけどねぇ

そこへ、歌麿が

歌麿(唐丸)

喜三二先生の『見徳』、百部刷り増ししとく?

と言ってきた。

蔦重

え、そんなに売れてる?

その時、「よー、蔦重。ご無沙汰山だな!」と店先に見覚えのある男が現れた。

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蔦重

…岩戸屋さん!その節は細見、たくさん仕入れていただき助かりました!あの、今日は

『見徳』をな。頼まれてる分もあっから五十部ほど頼むよ

歌麿が

歌麿(唐丸)

そんなに?

と目を丸くする。

千部売れたらベストセラーのこの時代、五十部はかなりの数である。

蔦重

けど、いいんですかい?ウチの本を仕入れてお仲間内は

大事ねぇと思うんだよなぁ。『見徳』は言い訳が立つから

と岩戸屋は『菊寿草』を取り出した。

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難癖つけられたとこで「今年一番の本を置いてねぇってなぁ本屋としてまずいでしょう」って、日本橋の旦那連中に「言い訳』ができんだろ

蔦重

ちょいと待ってください。何かしらの言い訳さえ立ちゃ、ウチの本を扱ってもらえるってことですか?

そうだよ。本音じゃお前さんの本仕入れてえって本屋はいっぺえいんだから

蔦重

…言い訳さえ立てば

岩戸屋が去り、日が暮れる頃、りつと打ち合わせを終えた蔦重は歌麿に言った。

蔦重

歌。お前、清長そっくりはいけるか?ただ写すんじゃなくて、清長が描いたとしか思えねぇような別の絵を仕立ててほしいんだけどよ

歌麿(唐丸)

やれってんならやってみるけど。そんなことしてどうすんの?

蔦重

本屋たちがウチの本を仕入れる「言い訳」が立つようにしてやんだよ

蔦重は西村屋板の細見を歌麿に向かってかざし、ニカッと笑った。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:葡萄酒

田沼 意次

申し訳が立たぬと、島津が不服を申し立ててきたのでございますか?

家治に話を聞いた意次はあ然とした。

薩摩藩主・島津重象から、側室は受けかねる。薩摩の茂姫はあくまで御台所でなければ申し訳が立たぬと文が来たというのである。

田沼 意次

いったい、どなたに対する申し訳なのでございます

十代将軍徳川家治

この縁組は『浄岸院様』の遺言だそうだ

田沼 意次

浄岸院様を使ってきましたか…

高位の公家の出である浄岸院は、かつて八代将軍「吉宗公最愛のお方」と言われた女性だ。

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幼くして五代将軍綱吉の養女となって江戸城で育ち、その後吉宗の養女を経て、薩摩藩五代藩主島津継豊の継室に収まった。

継豊の孫にあたる現藩主の重豪を養育したのが、この海岸院である。

まもなく治済から声がかかり、意次は島津重豪と会見するため一橋邸に出向いた。

一橋 治済(家治のいとこ)

悪いのう、羊殿。島津殿が私の言葉では納得してくれなくてのう

田沼 意次

何をおっしゃいます。ご養子選びは私のお役目にございます

一橋 治済(家治のいとこ)

久しいのう、田沼殿。まずはこちらを

重豪が合図すると、家臣が木箱を運んできた。中には赤い液体の入った瓶が詰まっている。

田沼 意次

おお。これは葡萄酒ではございませぬか

意次は目を見張った。

重豪が親交のあるカピタン(長崎出島のオランダ商館長)に頼み、手に入れたものだという。

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この年の葡萄は出来が良く、香り高く、味もとりわけ甘露!だそうで

と流ちょうなオランダ語で話す。

田沼 意次

なんと。島津様は蘭語をご習得に?

意次は感心した。

聞き齧りよ。私は蘭癖大名ゆえな

蘭癖大名とは蘭学を好み、言語のみならずオランダ式・西洋式の技術や文化を模倣したりする大名のことで、重豪はいわばその元祖である。

赤い液体の注がれた珍しいびいどろの酒器が、それぞれの前に置かれた。

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意次がチラリと治済を見る。治済は例によって鷹場に笑い返し、くいっと葡萄酒をあおった

意次には、その笑みの意図が分からない。

また、くるくるなさらず!こうくるくるするのが『通』だとお教えしたではないですか

重豪が酒器を小さく回しながら治済をたしなめる。

一橋 治済(家治のいとこ)

まことよう知っておるのお、そなたは。なんであったか、権か蘭学の学べる場まで作ったのであったか

蘭癖にも程があると家中からは責められておりますがな。これより先は西洋の知を学び、いたずらに銀を吸い上げられるだけの国より脱するが肝要!と、それがしは考えておりますものでな

内心、話を「聞かされている」と感じつつ、意次は酒器を回していた手を止めて言った。

田沼 意次

先のことはさておき、昔を振り返りますと、御台様は宮家もしくは五摂家の姫というのが慣わしにございまして

しかし、そこは種姫様も同じであろう

と重豪。

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田沼 意次

種姫様の母君、宝連院様は近衛の出。種姫様は五摂家の姫とも言えなくはない、と、上様のお考えにございまして。なにとぞお察しいただきたく

治済がこっそり重豪に目配せする。

無言の指示を受けた重豪は、わざとらしくため息をついた。

分からんのう。田沼殿にとり、種姫様を御台様とされることのどこに旨みがあるのだ?種姫様の後ろにおるのは白河様。田沼殿の目指す世の形の邪魔になるとしか思えぬが

田沼 意次

そこはございますが、上様の望み一つ叶えずして目指す世も何もございますまい

言い切ったものの、意次は心の惑いのまま再び葡萄酒の酒器をくるくる回し始めた。

田安 賢丸

武家が精進すべきは学問!武芸!

と吠え立てていた賢丸。

かつての松平定信を思い出すと、にわかに胸がざわついた。

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葡萄酒を土産に意次が去ったあとも、治済と重豪は杯を重ねた。

一橋 治済(家治のいとこ)

あれは相当心揺れておったなぁ

治済は、密かに意次の様子を楽しんでいた。

何度も申し上げますが、私は側室でも構わぬのですぞ

と重豪は半ば困惑顔だ。

しかし、なにゆえかような無理筋を通すような真似を。そこまで田安家を除いておしまいになりたく

治済は血のような葡萄酒をくるくるしつつ、

一橋 治済(家治のいとこ)

楽しみじゃのう

と優雅に笑うのであった。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:大奥として

この島津の一件を耳にした宝道院は、慌てふためいて西の丸にやってきた。

宝蓮院(賢丸の養母)

この件、田沼が裏で糸を引いておるのですか

知保の方

そういう噂もあるそうじゃ。の

と知保の方が大崎を促す。

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知保の方

田沼様が一橋様を抱き込み、島津より申し立てを起こさせたのではないかと

宝蓮院(賢丸の養母)

また、あやつの田安外しと言うことか

宝蓮院は歯をギリギリと食いしばり、その翌日にはさっそく行動を起こした。

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田沼 意次

宝連院様より上様にお渡し願いたいと承った文にございますが、実のところ書かれたのは白河様にございますかと

高岳に託された文は意次に渡り、意次は眉間にしわを寄せつつ文面を目で追った。

高岳

自らが白河へ出された件は無論、西の丸様、右通将監の死、豊千代様ご養子の件に至るまで、すべて主頭のはかりごと。此度の申し立ても、主殿頭が島津を唆したものであると

高岳は、意次がお裾分けした葡萄酒を作法どおりくるくる回しながら言った。

宝連院の文を読み終えた意次は、ぐったりしてため息をついた。

田沼 意次

正直なところ、大奥はどちらが良い。種姫様か津の茂姫か、御台様としてお迎えするなら

高岳

大奥としてでございますか…

円を描く赤い液体を見つめながら高缶は考え込んでいる。

意次は答えを待った。

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べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:汚い手?

高重に一泊吹かせようと、西村屋はあちこちの女郎屋で清長の「雛形若菜」を売り込んでいた。

敵婦の女郎にねだられた客が、いいところを見せようと来年の人銀を約束してくれるのである。

万事順調で、西村屋はホクホクしていた。

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ところが「親父が、さすがにそれほどの入銀をしてやるものなのかと」客の一人である呉服屋の若旦那が店に現れ、きまり悪そうに断ってきた。

西村屋

鳥居清長にございますよ!

とにかくウチは引かせてもらう。すまぬ、親父がな!

若旦那は逃げるように去っていった。

取り止めを願い出てきたのは、これでもう五件めだ。

西村屋

清長とはいえ、入銀が高すぎたとか

細見酸を任せている小泉忠五郎と話していると、手代の忠七がやけに険しい顔で帰ってきた。

西村屋

おや、どうしたんだい

旦那様。これ、呉服屋の手代から手に入れたんですが

忠七が持ってきた墨の摺り物を見て、西村屋は仰天した。

西村屋

なんだい、こりゃ!

さて、蔦重は歌麿を連れ、駿河屋の二階の座敷で尾張屋の旦那を口説いていた。

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これを『雛形若菜』の半分の入銀で?
おんなじ清長で半値ってのはどういうカラクリで

尾張屋の旦那は、西村屋板『雛形若菜』そっくりの墨摺りの見本を手にして驚いている。

蔦重

実はこれこいつが描いてんでさ

と蔦重がかたわらを指し、歌麿が会釈する。

蔦重

歌啓ってんですけどね。どんな画風でも思うがままで、かつ、まだ名もねぇんでお安くできるって話でございまして

はぁ、すごいねぇ。どっからどう見ても清長だ

蔦重

でしょう!こりゃいったいどこの誰だって、そういう評判も見込めると思うんでさね。「第二の雛形若菜、第二の清長』、その名も「雛形若葉」

若葉って。けど、これちゃんと錦絵になるの?

蔦重

もちろん、西村屋に引けを取らねぇ出来にいたしまさ!

お前さんの作るもんは、吉原以外には流れねぇって話だったが、そこは

すかさず助っ人のりつが横から口を挟む。

女郎屋りつ

そのあたりもおそらくは年明けまでにはなんとかできますかと

よし、今度はまかせた!

とまあ、こんな調子で次々と顧客を横取りし、歌啓が作った西村屋の入銀名簿は取り消し線だらけになった。

蔦重

あと何件潰せるかねぇ

歌麿(唐丸)

そうさねぇ

蔦重と歌麿が大門を出ると、向こうから五十間道を、西村屋が肩を怒らせて歩いてきた。

西村屋

おい!ずいぶん汚い真似してくれんじゃねぇか。え?

どこで手に入れたのか、『雛形若葉』の見本を突きつけてくる。

蔦重

ホントありがとうございます。とびきり汚ねぇやり方もありだって、教えてくれたのは西村屋さんですから

西村屋

『雛形若菜』が滑りだしたのは西村屋の名があったからだろ!あたしがいなきゃ途中で潰れてたじゃないか!

蔦重

おっしゃるとおりで。なんで、此度は名はお借りせず、己の力で作ろうと

西村屋

ずいぶんと偉くなったもんだ。けどね、錦絵ってなぁお前が思うほど甘くないからね!

捨て台詞を吐いて帰っていく西村屋の後ろ姿を見送りながら、

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歌麿(唐丸)

錦絵にばかり気がいってるねぇ

と歌磨がニヤリ。

蔦重

なあ。そろそろ気づくかね。あちらのほうも

『雛形若葉』で足元をすくわれたと思っているようだが、本当の狙いは違うところにある。

そうとも知らず、西村屋は「雛形若葉』で頭がいっぱいのまま店に戻った。

西村屋

どうしたんだい

忠五郎が細見の前でうなだれ、忠七がしきりに慰めている。

此度やたら細見の直しが多いもんで奇妙に思い、確かめてみたところ…こちらの時の女郎の名を答えられておりました!」

それは何年も前の安永三(一七七四)年に源内が序を書いた鱗形屋板の細見であった。

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西村屋は吉原ぐるみの蔦重の企みに初めて気づいたが、もはや後の祭りである。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:宝連院と知保の方

宝蓮院(賢丸の養母)

いかなることじゃ!私に一言もなく姫の縁組が決まったとは!

宝連院が凄い剣幕で高岳の部屋に怒鳴り込んできた。

高岳

恐れながら、種姫様は上様のご養女。
今は田安様の姫君でもございますまい

高岳は意に介さず、気に入ったのか葡萄酒をくるくると回している。

宝蓮院(賢丸の養母)

…上様は。上様は何と仰せなのじゃ!

高岳

嫁ぎ先は吉宗公の故郷、紀州徳川家。田安の姫様にとり、これ以上の嫁ぎ先はなかろうと仰せにございます

淡々と答え、ひと口葡萄酒を飲み、

高岳

あ、宝連院様も召し上がりますか?

とうっすら笑む。

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宝蓮院(賢丸の養母)

いらぬ!

その時、廊下からけたたましい叫び声が聞こえてきた。

知保の方

私は西の丸におるのじゃ!

宝蓮院が慌てて部屋から出ると、知保の方が無理やりどこかへ連れていかれようとしている。

宝蓮院(賢丸の養母)

いったいこれは…

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家然としつつ、宝連院はそばに付き従っている大崎に説明を求めた。

西の丸には豊千代様のご生母様もご一緒に入られるとのことで。西の丸を離れるようにと苦殿頭様より

知保の方は髪を振り乱してわめきながら連れていかれ、宝連院はなす術もなく廊下に一人取り残された。

将軍の生母となるはずだった女子の、なんと惨めな末路であろうか…。

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宝蓮院(賢丸の養母)

…田沼。いつか天罰が下ろうぞ!

こうして聞五月、一橋豊千代が正式に家治の養子となり、西の丸に入った。のちの十一代将軍家斉(いえなり)である。

十代将軍徳川家治

西の丸には茂姫、ご生母の富の方、家老の田沼意致か。一橋は豊千代の周りを固めてきたな

家治は泰然自若としているが、心中の葛藤はいかばかりであろうか。

田沼 意次

此度の件は万事お心に添わぬこととなり、まことに

忸怩たる思いで、意次は言葉が続かない。

十代将軍徳川家治

余の何よりの願いは、そなたがのちの世に残る仕事を成してくれることじゃ。そのためにはこれが良いと言うのであらば、構わぬ

主君の言葉が四肢に染み渡り、体じゅうに力が湧いてくる。

田沼 意次

政はすべて幕閣、そして時々の選ばれた能ある役人どもの手で行う形を作り上げたいと考えております。どのようなお方が上将軍の座に就こうが政は揺るがぬ、手出しもできぬような

十代将軍徳川家治

余のことはうまく使え、主殿

家基の死で政意を喪失してしまったと世間は見ているが、そうではない。

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祖父・吉宗から帝王学を直々に受けた家治の日は、常に先の世を見据えていた。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:市中の仲間に?

春町の新作がついに完成した。

いやもう、その面白さと言ったら…期待以上である。

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蔦重がワクワクしながら原稿を読んでいると、りつがウキウキしながらやってきた。

女郎屋りつ

西村屋の『雛形若菜』、申し込みがずいぶん減ったみたいで。
次ので終わるんじゃないかって噂だよ

蔦重

お!そうですか

女郎屋りつ

細見のほうはどうなんだい?西村屋の

蔦重

探りを入れてみたとこ、どうも彫りの注文は入ってねぇみたいでしたよ

蔦重とりつ、そして歌麿は意味ありげな視線を合わせた。暗黙の了解、というやつである。

女郎屋りつ

じゃあ、そろそろかね

とりつ。

蔦重

頼みますよ、岩戸屋さん

蔦重が日本橋方面に向かって手を合わせた、ちょうどその頃。

鶴屋(蔦重のライバル)

西村屋さん、七月の細見を出さないと聞いたんですが

鶴屋が珍しく血相を変えて西村屋に飛び込んできた。

西村屋

『雛形若菜』が潰されちまったもんでね。うちとしちゃこっちが本丸で、細見はついでに売り込んでくつもりだったからさ

鶴屋(蔦重のライバル)

じゃウチが出します。改は終わってますよね

西村屋

それも半分くらいやり直さねぇと使えねぇことが分かってね。じゃあ、まぁ七月は休むかって

鶴屋(蔦重のライバル)

細見は大事にしてくださいってお願いしたじゃないですか!

事の重大さに気づいていない西村屋は、鶴屋の剣幕に驚いて目をパチクリさせている。

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細見の問題を話し合うため、会所に地本問屋たちが集まった。

鶴屋、西村屋、村田屋など日本橋に店を構える大店の者たちと、岩戸屋はじめ中小の店や個人業者が対峙する。

じゃあ俺らはどこから細見入れろって言うんですか!

岩戸屋が西村屋に食ってかかった。

西村屋

うるさいね!この七月だけ辛抱すりゃいい話だろ!

いい加減うんざりなんですよ!

格下に見ていた岩戸屋の強腰に、鶴屋たちはひるんだ。

おたくらの!日本橋の言うこと聞いてきたのは、蔦屋なんかいずれ潰れる潰すって言ってたからだ。けど蔦屋の勢いは増すばかり。薄い細見は言うに及ばず、青本、富本、吉原本!客から耕書堂の本を欲しいと言われても、俺たちゃ謝るばかりでさ!そのたびに客を逃す、それがもう何年だと思ってんだ!

岩戸屋側の本屋たちから「そうだ!」「そうだそうだ!」と贅同の声があがる。

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もうそろそろ、蔦重との取引を認めてくれませんかね。でなきゃあ

岩戸屋が去る素振りを見せると、鶴屋は瞬時に手のひらを返した。

鶴屋(蔦重のライバル)

認めます!私は認めようと思います!皆さんはいかがです?

と西村屋たちに水を向ける。

西村屋

…認めるって

西村屋があ然とする。

鶴屋(蔦重のライバル)

店の売り上げに関わるというのなら、認めぬわけにはいかぬでしょう

こいつら蔦屋の本を入れてえから嘘言ってんだ!!

村田屋も事態の深刻さをまるで理解していない。

鶴屋(蔦重のライバル)

嘘じゃないと思います!

鶴屋は苛立ちを抑え、黙ってくれと目に力を込める。

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鶴屋の迫力に呑まれ、大店一同は不承不承、蔦重との取引を認めることになった。

ありがとうございます。じゃ、これからは堂々、蔦屋の本も仕入れさせてもらいまさ!

岩戸屋たちがゾロゾロと会所を出ていく。

どうして、あんな!

それでもなお受け入れがたい村田屋に、鶴屋が噛んで含めるように説明する。

鶴屋(蔦重のライバル)

突っぱねれば、あの者らはここから抜けると言うつもりだったと思います。そんなことになれば、蔦重はその頭になって新しいお仲間を作る。それは最悪の筋書きではないですか?

まったくそのとおりであった。

一同は鶴屋の先見の明に驚嘆し、そして言葉を失った。

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その日、岩戸屋がさっそく本屋仲間を引き連れ、耕書堂に買い付けにやってきた。

蔦重

じゃ、お約束の細見が五十、富本本が五ずつ。で。『見徳』が五十で!

岩戸屋がこっそり「へへ、悪いね、タダで」と蔦重にささやく。

蔦重

見事に立ち回ってくださって。市中との取引はウチの念願。こんな礼じゃ足りねぇくれえでさ

蔦重

あの、よろしければこちらも

と蔦重が差し出したのは、『無題記』。出来たてホヤホヤの、恋川春町の新作である。

蔦重

お気に召したら、どうぞおっしゃってくだせぇ

その珍妙な絵を一目見た岩戸屋の口から「三十!」と威勢よく声が飛び出す。

蔦重

合点承知!

店には市中の本屋たちが殺到している。

蔦重は挨拶に回りながら次々と注文を捌いていった。

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ひと段落した頃、冷やかしにきた次郎兵衛が売り上げの帳面を見て目を丸くした。

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

こんなに売れたの?

在庫が間に合わず、歌麿とりつはせっせと追加注文の数を計算している。

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

まぁ、市中の釜の蓋が開くとこんなになるんだねぇ

地獄の釜みてえに言わねぇでくださいよ

女郎屋りつ

けど、これって例の本屋のお仲間の内に認められたってことなのかい?

りつが聞く。

蔦重

岩戸屋さんの話では、そう考えていいんだと思うんですが

そう答えながら、蔦重は軒先に積んである細見を見やった。

蔦重

…いっちょ行ってみるか

鶴屋は『菊寿草』を読みながら、次なる出方を巡らせていた。

蔦重の才覚は認めよう。

しかし、間違った道筋を認めるわけにはいかない。

蔦重

あの、鶴屋さん

当の蔦重が大きな風呂敷包みを提げて店先に現れた。

鶴屋(蔦重のライバル)

…これはこれは、なんの御用でしょうか。蔦屋さん

蔦重

あ、これ、よかったら置いてくだせぇ

と風呂敷包みを床に

蔦重

細見です。此度はお仲間の内に認めていただき、ありがとうございました。これはほんの御礼まで。手元にあったほうがよろしうございますよね

鶴屋(蔦重のライバル)

何か勘違いされてませんか?確かに市中の本屋がそちらと取引することは勝手と認めましたが、ウチが取引するかは別の話です。私は…蔦屋さんの作る本など何一つ欲しくはない

蔦重

…分かりました。んじゃ、鶴屋さんが取引したいと思える本を作るべく精進します

引きつりそうになるのをこらえ、蔦重は笑顔を作って言った。

鶴屋(蔦重のライバル)

ぜひ。楽しみにしています

愛想笑いを張りつかせた童顔がまた胸糞悪い。

蔦重は一礼し、風呂敷包みを持って立ち去った。

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が、忌々しいのは鶴屋もご同様である。

吉原者が店の敷居を跨ぐのさえ不愉快だ。

そこへ、鶴屋でも描いている北尾政演がやってきた。

あのお、今の蔦重ですよね。仲直りしたんですか?

鶴屋(蔦重のライバル)

…政演先生。一つ、本気で戯作をやってみませんか?

のちにベストセラー作家・山東京伝となる戯作者としての才をいち早く見抜いた、恐るべき鶴屋の慧眼であった。

べらぼう20話のネタバレとあらすじを吹き出しで解説:

この日、蔦重は大田南畝の招きで、次郎兵衛と一緒にとある料亭に来ていた。

狂歌の会を見学しにきたのであるが、思っていたより格式ばっていて、普通の歌会のような雰囲気である。

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

俺よく分かってねぇんだけど。そもそも狂歌と和歌って何が違うのよ

蔦重

和歌は和歌の言葉「雅語』ってのを使わなきゃいけないけど、狂歌ってのは俺らが普段話す言葉で詠んでいい、らしいです

コソコソ話していると、見知った顔が蔦重の日に入った。

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平賀源内の仕事の相方だった平秩東作である。

南畝とは「江戸六歌仙」と言われた内山賀邸のもとで学んだ同門で、東作は事業家や戯作者のほかに狂歌師の顔も持っていた。

東作(山師)

皆様。本日はお集まりいただきありがとうございます。会主の元木網にございます

厳かに会が始まった。参加者は実に多種多様、ちなみに元木網は京橋の湯屋である。

次郎兵衛(蔦重の義理の兄)

『元木網』っていうの?あの人

次郎兵衛に質問され、蔦重はまたコソコソと答える。

蔦重

『狂名』ってやつだと思います。狂歌を詠む時の名、号でさ

東作(山師)

では、お持ち寄りいただいた作を改めます。お題は『鰻に寄する恋』

そんなお題?二人は目を白黒、木網が惚れ惚れするような喉で狂歌を歌い上げる。

わが恋は鰻の見えぬ桶のうちのぬらぬらふらふら乾く間もなし

詠み人は朱楽菅江。洒落本も多数発表している、南畝と同じ幕臣で狂歌三大家の一人である。

本日の判者は四方赤良先生です。先生いかがでしょう

元木網の妻で副主催者の智恵防子が、南畝に意見を仰ぐ。

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南畝の狂号「四方赤良」は「四方のあか」のもじりで、人気の銘酒、四方屋久兵衛の「滝水」のことだ。

大田 南畝

これはどのような恋の思いを

鰻のおらぬ桶。好物の鰻もおらねば、愛しい女も今は去った。我が鰻だけが乾く間もない涙で流れ、行徨い歩くという男心を歌っております

南敵も菅江も大真面目だ。蔦重と次郎兵衛はだんだんおかしくなってきた。

大田 南畝

なるほど。しかし、『ふらふら」ではなく、『むらむら』としてはいかがか

え、そこ?白黒どころか、目玉がでんぐり返りそうである。

『むらむら』、にございますか

大田 南畝

うむ。鰻はやはり、「むらむら』ありたい

では、『むらむら』、で。ご指南かたじけのうございます

がんばって聞いていた蔦重と次郎兵衛も、ついに噴き出してしまった。

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やがて酒席となり、今日のお題にちなんで様々な鰻料理が並んだ。次郎兵衛はすっかり座に溶け込んで、酔っ払った南畝に「お供のやかまし!」などと名付けられている。

一方、蔦重は東作から話を聞いていた。

蔦重

はぁ、これは木網連という集まりで。あの、では会のかかりは木網さんが?

東作(山師)

今日はどうかねぇ、誰かの贔屓筋が払うこともあるし

そこに

遅れてすまぬな

と、どことなく偉そうな風情の武士が入ってきた。

大田 南畝

いよっ!お待ちしておりました! 『軽少ならん』様!

すかさず南畝の掛け声が飛ぶ。

東作(山師)

俺が引き合わせた赤良の贔屓筋だよ。やり手の勘定組頭でな。ちょいと商いの話なんかで付き合いがあってよ

東作が説明する。

蔦重

はぁまたずいぶん金回りが良さそうな組頭で

名前は上山宗光郎。格好からして、そこらの貧乏旗本とは段違いの立派さである。

東作(山師)

まぁ抜く手がやり手ってこった

東作がニヤッとして蔦重に耳打ちする。うまいこと金銭を懐に入れているのであろう。

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「来ぬ人を待つほど恨む夕鰻は焼くやも塩かタレ惑いつつ」

土山が狂歌を披露した。そのかたわらで南畝が幕間よろしく大袈裟に笑う。

蔦重がちょっと引いて見ていると、土山と目が合った。

......なんだ、見ぬ顔だが

蔦重

あ!吉原で本屋をやっております。ええと、蔦唐丸と申します

本屋。それは楽しみじゃ。蔦唐丸。鰻に恋して一首

蔦重

え!えと、あー、「あな鰻あぁうまそうな蒲焼の山芋とろとろこりゃうまそう」

あまりの下手さに土山は声をあげて笑った。

歌にも何もなっておらぬではないか

大田 南畝

ではお口直しに。私が

と南畝が居住まいを正す。

「あな鰻いづくの山のいもとせをさかれてのちに身を焦がすとは」

出だしの「あな鰻」は「あな憂(ああつらい)」との詞、「山芋が鰻に化ける」という伝承を用い、「いもとせをさかれて」「妹と背(恋人同士)の仲を裂かれて」身を焦がす思いを、背を裂かれて炭火で焦がされる鰻に託して詠んでいる。

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この類ない縦横無尽の言葉遊びに、蔦重は薄れた。全身が連れるほどの高揚を感じていた。

蔦重

…すげえ。俺、歌とかよく分かんねえけど、今のはすげえって分かります!

大田 南畝

詩は李白、書は弘法に狂歌俺…なんてなー!

南畝も自画自賛する。

智恵内子が「じゃ」と、なぜか蔦重に湯呑みを渡してきた。

「四方の赤みそひと文字の病にはつける薬もなきの一杯」

南故は自身の狂名をネタに一句詠み、徳利を抱えて蔦重の湯呑みになみなみと酒を注いだ。

歌麿が寝つけないまま絵を描いていると、明け方、どんどんと店の戸を叩く音がした。

歌麿(唐丸)

…帰ってきた

戸を開けると同時に、蔦重が倒れかかってきた。そのままドーンと土間に押し倒される。

歌麿(唐丸)

…蔦重。大丈夫?

蔦重

狂歌、ありゃ、流行る。俺がっ、流行らせる!……

酒臭い息でそれだけ言うと、蔦重はそのままいびきをかき始めた。

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またもや蔦重の情熱を衝き動かす何かを見つけたらしい。

なんだか楽しそうなその寝息を聞いているうち、歌麿もまた眠りに落ちていった。

べらぼう次回放送

次回のべらぼうネタバレ第21話はこちら

第19話 | 第21話

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べらぼうのネタバレとあらすじ:一覧

2025年5月

2025年6月

べらぼう20話:筆者の見解

見返りさん

放送後に記載いたします~!

大河ドラマ べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ 蔦屋重三郎とその時代 (TJMOOK) [ 鈴木 俊幸 ]

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